「あるもの」をつなぐ No.25 小林シンイチロウ

解決志向の発想で、みんなの気持ちを戦略にのせよう!


24年上期がスタートしました。会社勤めの方は目標を設定されて、達成するための活動にご尽力されていると思います。多くの課題の中で大変だと思いますが、一緒に頑張って参りましょう

ぼくらのチームはマーケティングに関わるコンテンツ制作をやっています。会社の中ではクリエイティブを担う部門です。

商品の価値をどうやって表現して、どうやって伝えるかを考え、その為の企画とかデザインをつくる仕事です。

クリエイティブな発想(その人なりの個性的で独自性のある考えや表現)が必要な仕事は、気づいたこと、思っていることを自由に表に出せることが大事です。一方で問題ばかりに目を向けると、発想が制限されてしまって狭くてつまらない発想になってしまいます。

そういう意味では、仕事をクリエイティブに進めるには、解決志向の発想が役にたちます。クリエイティブだなあと思う人は解決志向な人が多い印象です。解決志向アプローチを使いこなすのは、スキルよりアートに近いとも言われますしね。

今回はクリエイティブ部門のマネージャーであるぼくが、チームの目標達成に向けて解決志向の発想をどう活かしているか、という観点で書いてみます。そんな活かし方もあるんだ、と思ってご自身の仕事のヒントにつながれば幸いです。キーワードは「気持ち」です。

<チームメンバーの変化> 

チームメンバーはコイデさん(定年を迎えた男性)、アリオカさん(女性)、チュウさん(女性)、ヤマシタさん(契約社員・女性)を含めた5名チームです。個性的なメンバーです。

コイデさんはすでに定年を過ぎていてシニアとして活躍いただいています。かつて他部署で「仕事をしない」と邪魔扱いされ(コイデさん、すみません)、ぼくのチームに来てもらいました。コイデさんによくよく話を聞いてみると、他部署のメンバーが「自分の話を聞いてくれない」とのこと。そのうち、話してもムダと思いはじめ、思っていても言わなくなったそうです。

あれから4年ほど経つでしょうか。今では「仕事をしない」なんて言う人は1人もいません。グローバルの環境対応PJでリーダーをしていただき、各国の現地法人を取りまとめる仕事をしています。評価はシニアで最高レベルです。コイデさん、カッコいい!

アリオカさんは過去上司に恵まれず、不遇の時代を過ごしていました。思っていることをつい口に出してしまいトラブルになったり、勤怠についても問題があったようです。それで部署を転々とさせられて、昇格もだいぶ遅れていました。

今は全社新商品発表会の制作リーダーとして活躍いただいています。アリオカさんはぼくの次のマネージャー候補として育成しています。今後は昇格スピードを上げようとぼくの上長と画策しています。マネージャーになるのが楽しみだなあ。

チュウさんは自分に与えられた役割以外の仕事は絶対にしませんでした。しかし、成長や昇格をするには、業務のレベルを上げたり業務を広げることが必要です。チュウさんと関わる中で、未知のことに着手することが苦手のようでした。なんとなく自己評価が低いのかなあと観察していました。

また、以前はチームで助け合うということはなく、チームメンバーの欠陥ばかりが目につくようでした。アリオカさんに対して問題点ばかりが目につき文句が多かったのを覚えています。

ぼくのチームに合流して仕事を進めて行く中で、チュウさんは自分やチームメンバーの力に気づくようになりました。自分が助けられていることにも気づくようになったんです。直近では、ぼくのチームの一丁目一番地のデジタルクリエイティブ制作の走り馬として、チャレンジングに取り組んでいます。チュウさん、その調子!

ヤマシタさんは契約社員です。以前もブログに書きましたが、いくら頑張っても給与が上がらないので不満を抱えていました。ぼくから新しい仕事をお願いしても受け入れませんでした。でも実は給与面だけではなく、これまでの仕事に慣れきっていて、そこから出られずにいました。出るのがちょっと怖い様子です。長らくそうやって自分を閉じてきたので、自分に能力があるとは信じられなくなっちゃったのかなと感じていました。

でも、何か分からないけど、ヤマシタさんから「わたしだってできるし、やりたい!」という意思を感じたんですね。一言もそんなこと言ってないんですけど、感じちゃったんです。

それで、クリエイティブ制作を支援する仕事をMACスキルを身につけながらやってほしいと伝えたんですね。この仕事、メンバー全員に貢献できるんです。おまけにスキル習得すれば副業もできるかもしれない。ちょっとお金の面にもつながるかも。

こないだ23年下期の評価面談をした時に改めて24年上期はクリエイティブ制作の支援を頑張ってほしい、と伝えたら、「やれるか分らないですけど、ちょっとおもしろうそうなので頑張ってみます」と言ってくれました。ヤマシタさん、あなたの能力を解放しちゃってください!

<ぼくの気づき>

ぼくはメンバーのみなさんに謝らなければいけないことがあります。個性のつよいメンバーを抱えて「このメンバーでどうやって組織目標を達成すりゃいいんだ・・貧乏クジ引いたなあ」なんて考えた時期もあったんです。しかしとんでもない誤解でした。

ぼくはメンバーのことを何も知らなかったんです。どんな食べ物が好きで、どんな映画が好きで、ご家族とどんな風に過ごしていて、体調のバイオリズムはどうなっているのか。どんな気持ちで仕事をしているのか、どんな仕事をしている時に没頭していて、どんな仕事が苦手なのか。好きな人は?嫌いな人は?お金の心配はどの程度深刻なのか。一人一人が大切にしていることはどんなことなのか・・・

メンバーとの触れ合いを通じて、感じて・知って・理解していく道中で、ぼくの中で組織目標へ向かう一人一人のリソースが浮かび上がってきました。

アリオカさんは決まった時間に出社できないという意味では社会人落第生かもしれないけど、ゼロから取り組む仕事で成果を出したり、多くの関係者とたくさんのコミュニケーションを必要とする仕事では優等生です。ご家庭の事情もあり、仕事への情熱も並々ならぬものがあります。

コイデさんはサーフィンが趣味で環境に関心があり、環境負荷を減らす取り組みをライフワークと思っています。タイに赴任経験もあり海外も大好き。海外現地法人とのコミュニケーションも楽しそうです。

チュウさんは1人でコツコツやって体系化する仕事がとっても向いています。業務のデジタル化を体系化して、メンバーみんなに広げることで自信をつけています。

ヤマシタさんは、気持ちの奥底にあった「本当はわたしだって活躍したい!」という想いがありました。クリエイティブ制作支援の業務を引き受けることで実現しようとしています。

マネージャーとして、みんなの「気持ち」を知ることの大切さを学びました。

<みんなの気持ちを解決志向の発想で戦略へつなぐ>

チームメンバーのことが分かりはじめ、組織目標へ向かうための火種となる気持ち(リソース)が分かってくると、希望が見えてきます。みんなの気持ちはぼくの希望なんです。そして「メンバーにこんな気持ちがあるなら、なんとかやれるんじゃないか」と勇気が湧いてくる。

その後は、メンバーの一人一人の「気持ち」を乗せて、目標に向かう道スジを描いていきます。その道スジはみんなの気持ちが大切にできるように描きます。ここが現場マネージャーの腕の見せどころでしょうか。メンバーの仕事が進めば進むほど大切が実っていく道スジです。

ぼくはこの作業が解決志向マネージャーの醍醐味だと思っています。とってもワクワクする、クリエイティブな解決志向の戦略づくりです。マネージャーの役得だと思います。

24年上期は生成AIを使った取り組みも目標に入れています。ちょっと背伸びしたかなあと思いつつ、メンバーはすでに走り出しています。今期も一緒に頑張ろうね!

みんなの気持ちを戦略にのせて、目標達成につなげよう!

「あるもの」をつなぐ No.25 小林シンイチロウ” に対して10件のコメントがあります。

  1. シオタリョウコ より:

    明るい光を見つけたようなワクワク&感動のブログです。
    感動してプリントアウトして(笑)線引いて(笑)読み返しています。

    以前、小林さんがSFカフェでお話されていた「チーム一人一人の大切なことを大切にする」がずっと心に残っています。
    組織目標に向かう一人一人の火種となる気持ちは、それぞれが大切にしていることですよね

    火は大きくもなれば一瞬で消えてしまいます。

    だから、その人の大切な火種を大切に扱うことって大切だなぁと感じています。
    小林さんのチームは、小林さんはもちろんチーム全員が自分以外の火種を大切に扱う人たちの集まりなのだろうと胸がいっぱいになっています。

    仕事だけにその火を使うのではなく、その人の仕事以外の事にも使ってもらい大きな火(エネルギー)になれば、なんてすばらしい世界になるのだろう…と、朝から妄想が止まりません。

    仕事の大きなヒントになりました。ありがとうございました。
    今年もよろしくお願いいたします。

  2. シンイチロウ より:

    シオタさん、コメントありがとうございます。

    「小林さんはもちろんチーム全員が自分以外の火種を大切に扱う人たちの集まり」なんて言ってくださって嬉しいです♪OKメッセージありがとうございます。

    おっしゃるように、自分の「大切」の火種が大きくなると、自然と周囲の人を大切にしたり、周囲の人に寛容になるみたいですね。

    もちろん急に変わるわけではないですけど、続けることで着実な変化を実感しています。「大切にしていることを大切にする」ことの力を確信できるようになりました。

    こうしてブログ上から応援いただくことで、ぼくは大切にされているなあと思えます。引き続き宜しくお願いします!

  3. おっくん より:

    小林さんへ

     小林さんはもう何歳になられるんだろうとふと思いました。いつまでも青年のような真っ直ぐな心で実践コース時代に描いたフューチャーパーフェクトを追い求めておられるようですね。ソリューショニストの心は老いることがないようです☺️
     ちなみに第一回目のブログでの青木さんとのやりとりのなかで「自分のメッセージをしっかり受け止めてくれて、一緒になって考えてくれる状態が風土改善されているイメージです」とおっしゃってます。小林さんはずっと変わらず常に「気持ち」とともになんですね。

     人の気質は、地域性や年代、学歴に職種などによって違いがあるようですが、クリエイティブ···な職場なら個性的な考え方が飛び交うんだろうなと想像しています。マネージャーという役割も大変ですね。
     しかし、そんな職場でもコミュニケーションをとりながら実績を残しておられる小林さんの姿は尊敬に値します。そして僕が考える小林さんの最大の武器は「対話力」なんです。ある時はじっくり時間をかけて「小林さんがそう言うのなら」と相手が向きを変えるまで。ある時は言葉でなく相手の行動や空気を読み取りさりげなくフォローに回る。決して押し付けではないけど、決してあきらめない。それらすべてを含めて「対話力」としておきたいですね。
     なにかと変化が盛んで急な対応が迫られやすい世の中ですが、そんな変わらない信念みたいなものを持つことの大切さを教わった気がします。
     今年もあせらずゆっくりとやってみようかなと😊

    1. 青木安輝 より:

      「小林さんの最大の武器は『対話力』」というところに付け加えさせてもらいます。小林さんは今まで僕が直接会った人の中でも、もっとも黙ってとことん聴いてくれる人だと思います。自分の意見をまったくおくびにも出さずに「どうぞ全部話してください」と無言で言われる感じがヤバいです!

      1. シンイチロウ より:

        青木さん

        OKメッセージありがとうざいます😀

    2. シンイチロウ より:

      おっくんへ

      初心を思い出させてくれるコメントありがとうございます、
      やっぱり相手の大切を大切にしたいという想いは、当時からあったんだと改めて気づかせていただきました。

      せっかくなんで、SFの風土改善についてちょっとだけ振り返って見たいと思います。ちょっと長いですが、よろしければお付き合いください。

      SFで風土改善をやったのは2007年です。当時、世界的な原油高で材料費が高騰した中、ぼくがいた購買部門は利益を確保しろ!と経営部から相当のプレッシャーがかかってたんですね。

      で、若い担当者がマネージャーや部門長から毎日毎日ダメ出しをされて、疲弊しまくっていました。そんな感じでしたから管理職vs担当者の間でバッチバチ。風土は最悪。

      なんで、ぼくが隊長になって風土改善進めました。どんな風にやったかというと、目標達成に向けた業務を進める中で、「誰とどんなコミュニケーションが役立ったか」を見つけて、全員に共有してもらう、という簡単なものです。

      これを続けたら、業務に役立つコミュニケーションが増えて、風土が良くなり、目標達成に向けてチャレンジも増えました。

      ただ、いいことだけ取り上げたコミュニケーションに対して不満がある人もいました。「風土改善って、くさいものにはフタをしろ!なんですか?そんな活動には協力できません」と。

      ぼくは一生懸命やってるのに傷付きましたし、動揺しました。当時はSF実践コースのテーマとしてやってましたから、青木さんに相談メールをして返ってきたのが、

      「小林さんが描く風土改善のフューチャーパーフェクトでは、この人にどんな対応してるんだろうね」

      そこで出てきたのが「自分のメッセージをしっかり受け止めてくれて、一緒になって考えてくれる状態が風土改善されているイメージです」です。

      この体験は、ぼくのSF実践において血肉になった体験でした。実践コースで振り返る機会が多かったのが良かったんでしょうね。1つ1つの実践から意味や効果を振り返り、自分なりの技に落とし込めた気がします。

      なにかと変化が盛んで急な対応が迫られやすい世の中

      そうですね。世の中の早い変化にともなって、こんな知識やスキルが必要だ!とか、こんな職業がキャリアに有利だ!とか何かしなきゃと焦ることもあるかもしれません。こんな雰囲気に気持ちがざわついたり。

      一方で足元を見れば、自分の大切を大切にできる機会がたくさんあるんじゃないかと思います。着実に自分の大切を大切にし続けることができれば、自分なりに満足のいく方向性を見出すこともできると思います。

      なんか勢いで色々書いてしまいました。おっくん、今年もぼくとぼくのチームを見守っていてください!宜しくお願いします♪

      1. おっくん より:

         実践コースは本当に心の財産を積むことができた体験でしたね!同感です。

         豊村さんへの返信にある「人生満足」にも共振してます。私の新しい指針になりそうな予感。何事も携わる人々の幸せにつながるようになれば嬉しいですね。

        1. 青木安輝 より:

          「人生満足」!!
          その言葉にぼくも共振しました。

  4. 豊村博明 より:

    小林さん、ご無沙汰です。
    久しぶりに投稿させて頂きました。
    「こんな人、うちの課にきてもらったら困ります。目標達成しなきゃいけないのに、足引っ張られるのはごめんです。」言葉には出さなくても、そう思うマネジャーは多いのではないでしょうか。
    マネジャーになれば、人材育成力もさることながら、実績〈成果)を大きなウェイトで評価されますからね。
    小林さんはマネジャーの中で稀にみる異質な方だと思っていましたが、小林さんの下で働ける4名の方は皆さんどれほど幸せなことかと今回もしみじみと思いました。
    マネジャーになると自分の事よりも部下のことで悩む時間が多くなると思いますが、何度も夜も眠れない日々があったんだろうと推察します。
    人生の先輩でありながら、会社の方針、マネジャーとしての責務、自分の価値観と部下の価値観のギャップ等をどう自分の中で折り合いをつけてきたのかなあ。「それってあなたのわがままやろ。」を何度も飲み込んだことでしょう。そしていつの間にか、「みんなの気持ちはぼくの希望なんです。」と言い切れる小林さんにすごさを感じます。
    人は他者の力に助けらることも非常に大きなリソースなんだなあとつくづく感じました。
    私は体を張って部下を守ってくれる上司なんてほとんどいないと思っていましたので、小林さんのブログを拝読する度に別世界を垣間見る想いです。
    小林さんのマネジメント力を小林さんの会社は一体どの程度支援してくれているんだろうとかどう評価しているんだろうと外野の私は気になるところですが、小林さんにとってはそんなことどうでも良いことかも知れませんね。(笑)
    小林さんの想いを少しずつ、少しずつ受け入れてくれながら、心を開いていってくれる4名の部下に囲まれて、日々の仕事に邁進出来る小林さんもきっと幸せなんだろうなあと勝手に想像してしまいました。
    ご活躍を心からお祈りします。

    1. シンイチロウ より:

      豊村さん

      コメンとありがとうございました。「そうそう!そんなときもあったんですよ!」とうなずきながら読ませていただきました。ちょっとウルッときてしまいました🥺

      そして応援ありがとうございます。おっしゃって頂いているように、ぼくは今のチームメンバーと出会えて幸せです。時に腹も立ちますが、メンバーのことが好きです😊

      頂いたコメントに話がつながるか分からないですが、思ったこと書きます。

      会社に勤める管理職にとって、部下の「人材育成」は大事。人材育成は業績を上げるための社員のバージョンアップで、会社都合です。

      同時に部下の「人生満足」はもっと大事と思っています。部下の大切や満足が北極星。管理職は北極星に向かって舵取りしなきゃと思うんです。人材育成という船も部下の満足に向かって舵取りする感じです。

      時には荒波にもまれ、座礁を繰り返すこともありますが、人生満足という希望がある限り、あきらめずに前に進めるのかなって思います。

      心強い言葉がけをありがとうございます。今年も引き続き宜しくお願いします!

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