「あるもの」をつなぐ No.23 小林シンイチロウ

新しい景色をみて、希望のある未来を描く

ぼくのグループにはヤマシタさんという契約社員がいます。うちの会社としては数少ない契約社員の1人です。定年は変わらず60歳ですが、やはり給与体系が正社員と異なり、決して良いとは言えません。

ヤマシタさんは、一生懸命仕事をしてくれます。しかも能力が高いんです。必要なこと以上はしません。しても給与が変わらないからです。年数も重ねてきて、昇給も頭打ちになり、毎期の評価が上がってもスズメの涙ほどの増額にしかなりません。

一言でいえば、明るい未来を描けてないのです。給与が上がるとか、ボーナスだけでも大幅に上がるとか、いろんな意味で正社員と同等の扱い受けるとか、そういう明るい未来はない、そう思ってるんです。

これはシンイチロウ調べですが、ヤマシタさんは能力の1/10も発揮してないです。会社の制度が能力の発揮に歯止めをかけているんです。とても残念です。

「なんてこった。これじゃヤマシタさんも会社もハッピーじゃないなあ」

というわけで、10月中旬に実施した第3四半期の評価面談で話しあってみました。希望が持てる未来を一緒に描くために。

第3四半期の評価フィードバックをした後で、今後のことについてぼくから切り出しました。

ぼく

「第4四半期は他のメンバーと連携できそうなクリエイティブに携わってもらいたいと思ってるんだよね。ヤマシタさんのスキルアップにもつながるし、メンバーやグループへの貢献にもなるので、ぜひお願いしたいんだけど、どうかな?」

ヤマシタさん

「MACの仕事ですよね。色々考えてくださっているのは分かっています。スキルを身につける計画もよくわかりましたし、なんとか習得できる気がしています。でもモチベーションがわかないんです。今の仕事にプラスになって大変になるうえ、給与も上がらないし・・・ボーナスも1ヶ月分だけだし・・正社員の人とは違うんです」

ヤマシタさんは、頑張っても報われないことに失望感を感じていました。ぼくは、よりクリエイティブな仕事に携わっていけば、ヤマシタさんにとって新しい分野だし、面白みを感じてくれるんじゃないかと思っていたんです。少し仕事は増えてしまうかもしれないけど、面白みで乗り越えられるかなって考えてしました。でもそれは甘かった・・・」

ヤマシタさん、

「グループにとって必要なのは分かってるんです。私も受けた方がいいと思っています。頭では分かっているんですけど、なんというか心がついてこないんです。苦しいだけで・・・苦しくないように仕事をすればいいですけど・・・苦しくないようにやりますけど・・・正社員の方々のように、やれば見返りがあれば良いですけど・・」

当然だよな。頑張ったら何かしら見返りが欲しい。今、働きに対してあまりにも給与が低いとヤマシタさんは感じています。

ヤマシタさん

「私も結構歳なので、目も疲れますし、からだもキツい時があります。今の仕事の仕方で、あとどれだけ会社で働けるかわからないです。この先の不安もあります」

そっかあ。ヤマシタさんは、将来のことも考えて不安を感じているんだ・・・。そこでピンときたのが、MACのスキルを生かした仕事です。仮に会社をやめてもデザインソフトを使えるスキルがあれば、お金を稼ぐことは可能です。 ぼくは提案してみました。

ぼく

「ぼくも最近目の疲れがひどくて頭痛になることもあるよ。PC使う仕事だから目が疲れると困るよね。ヤマシタさんはぼくがこのチームにきて欲しいと頼んできてもらってるから、可能な限りこのグループで頑張って欲しいと思ってます」

「それでね、MACのデザインソフトを使えるスキルは会社をやめてもお金を稼ぐことができるよ。特にうちの会社でMAC使って仕事をしていたとなれば、それだけでも仕事のキッカケ掴みやすいし、スキル習得はコイデさんがマンツーマンの指導を引き受けてくれました。会社を辞めた後でも役立つスキル習得になるよ。会社は実践を磨く場として使ってもらったらいいんです」

ヤマシタさんの表情を確認してしながら伝えてみました。不安げな表情は薄れ、希望は未だ見えずとも希望の存在には気づいてくれたような気がしました。

ヤマシタさん

「え〜、そうなんですか、コイデさんがですか・・・。モチベーション上がるまで行きませんが、苦しくないようにはできるかもしれません。やってみないとわかりませんけど。今までと違う新しいことをやるのも抵抗感があるというか、ないわけではないので」

ぼく

「そうだよね。全く新しいことだもんね。やってみてダメそうならその時相談しよう。年内に購入と納品を済ませたいからコイデさんにMACの購入決済進めてもらうね」

ヤマシタさんが完全に前向きに受けてくれたとは言えません。でもヤマシタさんが感じている将来の不安に少しでも寄り添った提案を伝えることができたような気がしています。これからの進め方次第ではあります。

いまやってることが、明るい将来につながるんだと、希望を持って働くことは大事だと思います。24年1月から本格的にヤマシタさんの新たな挑戦が始まります。ヤマシタさん、一緒に頑張ろう!コイデさん、スキル習得の指導よろしくー!

新しい景色をみて、希望のある未来を描こう!

「あるもの」をつなぐ No.23 小林シンイチロウ” に対して4件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    小林さんへ

     うーん、読ませていただくとなんだか自然と拳に力が入ってきますね。私自身がヤマシタさんになったような、私自身が小林さんになったような不思議な感覚です。
     現在の私はパート従業員ですのでどちらの気持ちもわかるような気がします。派遣という立場が知らぬ間に垣根を作ってしまって本当の自分の力を発揮できないでいる。結局、それを打開するには自分で気づくか小林さんのような方の理解ある支援が必要なんだろうと思います。管理者の”腕の見せどころ”ですね!

     話は私の職場(放課後等デイサービス)の話に変わりますが、私のパートという立場で職場内にプラスの変化を起こせないかとゆっくりと試行錯誤をしているところです。何故変化を起こしたいかというと、今の職場の先輩たちは私と同年代で子供を支援する立場では豊富な経験を有するプロの方達です。その支援の姿を見ていても未熟な私には感心させられることばかりです。しかし、一見和やかな雰囲気の中で仕事をしているようですが、支援に対する考え方や接し方はその人次第というところもありますし、後輩への指導も薄いように思われます。また、パートだからという概念が成長や変化を起こそうとするエネルギーに蓋をしているようで残念に感じられるのです。小さな会社のせいか上層部からは期待は感じても変化を起こすエネルギーが感じられません。定年までの40年間を大きな会社の目標を達成するためにという教育で育ってきた私にはもどかしい違和感を感じてしまいます。
     しかし、パートという立場上経営的なことはもちろん子供達への支援に対する考え方も”こうあるべきだ”と公然と唱えることも出来ずにいます。(全体会議ではでしゃばってしまうほうですが)でもただ今はそれで良いとも思っています。最初に申した通り、ゆっくりとした試行錯誤をくりかえし繰り返し進めていくうちに、五感を通して伝わって行けるような気がしているからです。それはまるで子供たちを育てていくことに通じて知るのかもしれませんね。自分勝手に納得しながら書いてしまいました。

    「継続は力なり」とはいつかのブログにありましたね。小林さんの益々のご活躍をお祈りしております。

  2. シンイチロウ より:

    おっくんへ

    返信遅れました!
    そうですか、拳に力が入っちゃいましたか 笑

    今回の山下さんのようなことって、パートとか正社員とか関係なくありますね。コイデさんも「俺はシニアだから、給料半分だしこんな仕事はしない!」とか言ってました。

    でも、今じゃ会社にとってとても重要な環境の仕事を全世界を仕切って取り組んでくれてます。海外対応で大変だと思うけど 笑

    それはきっとコイデさんが大切にしていることとうまく重なったり、彼の苦手をぼくが補ったりして、やりやすい環境ができたからかなって思います。

    「ゆっくりとした試行錯誤をくりかえし繰り返し進めていくうちに、五感を通して伝わって行けるような気がしているからです。それはまるで子供たちを育てていくことに通じて知るのかもしれませんね」

    いやいや、そうですね!一度や二度のコミュニケーションで人なんて変わんないよって思いますね。おっしゃるように、五感を通して感じて伝わっていくんでしょうね。

    じわじわですね。グラデーションで行きましょう!気がついたらおっくんが望む色に変わってるかも 笑

    1. おっくん より:

      ありがとうございます。
      僕が望む色がみんなの好きな色なら良いんだけど強制は嫌いだし、好きな色は人それぞれだし、それも尊重したいし・・・。
      ってことは、やっぱ「認め合い、学び合い、応援し合う」ってところでしょうか。よーし!!

  3. シンイチロウ より:

    みんなが望んでいる色を応援し合う、いいですね!組織というキャンパスにみんなの色で素敵な絵を描いちゃいましょう!

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