「あるもの」をつなぐ No.14 小林シンイチロウ

大丈夫。あなたは1人じゃない、あなたを支えるチームがある。

<背景>
ぼくのチームはKさん(仮名 コイデさん)、Aさん(仮名 アリオカさん)、Cさん(仮名 チュウさん)、Yさん(仮名 ヤマシタ)を含めた5名チームです。これまでのブログで名前をアルファベットにしていましたが、仮名をつけました。

チュウさんは外国人ですが、日本語に不自由することはありません。しかし、細かいニュアンスになるとやはり不安があるようです。内容理解を確実にするためにぼくに確認したりします。

ぼくのチームの大きな行事として1年に2回、新製品イベントのプロジェクトがあります。アリオカさんはサブリーダーを数回やり、最近でアリオカさんはさまざまなタスクに目配りすることが出来るようになりました。全体運営の流れも把握してくれています。

チュウさんはそんなアリオカさんを見て、「アリオカさんすごいです!」「事業部横断の取り組みやってくれてありがとうございます!」と、アリオカさんに賞賛や感謝のことばを伝えていました。

ぼくはこの様子を見ていて、チュウさんはアリオカさんのように活躍したいんじゃないかと感じていました。チュウさんは成長意欲が高いです。「自分なら出来るし成長につながる」と思えば積極的に取り組みます。一方で「自分に出来そうもない」と思うと、依頼された仕事を断ります。これが周囲からは「向上心がない」とか「協力意識が足りない」と誤解を招くこともあります。

ぼくはチュウさんにアリオカさんのように事業横断の取り組みをリードできる人材に育って欲しいと考えていました。

<チュウさんの挑戦>
来年春に向けてプロジェクトがスタートしました。今回はアリオカさんにこれまで以上にフロントに立ってもらいます。またチュウさんにはあるタスクをお願いすることにしました。アリオカさんにもチュウさんのサポートをお願いしています。

ぼく:チュウさんさあ、新製品プロジェクトの試作パートやってくれないかな?

チュウさん:いいですよ。アリオカさんがいつも全部やってくれているので、申し訳ないなと思っていました。やります。

ぼく:ありがとう。チュウさんには少しずつでいいから、アリオカさんのようにプロジェクト全体をリードできるようになって欲しいんだよね。期待しています。

チュウさん:うちのチームにとって新製品のプロジェクトは大事な仕事なので理解しています。

こうしてチュウさんの挑戦が始まりました。

<大まかな役割でスタート>
チュウさんがやるパートは営業のキタニさんと連携しながらやります。ただし細かい作業が多くあり、全ての作業を役割に落とし込んでいません。進めながらお互いがやりやすい形で分担していく。そこはチュウさんとキタニさんがコミュニケーションを取りながら連携していきます。

ただチュウさんはこのような曖昧な状態が苦手です。一つ一つの作業に役割が無いと動きにくいようです。今回はチュウさんが完全な理解や納得することを目指すより、仕事を進める中で問題が起きたら軌道修正していこうと考えていました。

<仕事を抱え込む>
チュウさんが試作パートを進めているうちに、他部署の仕事までやり始めました。当然仕事量も増えますし、わからないことも増えていきます。

ある日、チュウさんはぼくに電話をしてきました。

チュウさん:「コバヤシさん!ワタシここまでやる必要ありますか!数量の件でプロジェクトメンバーから問い合わせがたくさんきて困ってます。おかしいんですよ。キタニさんがやってくれないんです!ワタシばかり仕事押し付けられてる感じです」

ぼく:「チーム朝会でこの件を話してくれる?メンバーから今後の進め方についてアドバイスもらおう」

<チームの支えに気づく>
チーム朝会でチュウさんはプロジェクトで進めている試作パートについて思っていることを話しました。

チュウさん:「試作パート進めてるんですけど、ワタシが数量の調整までマーケティング部とやっているんです。おかしいですよ!営業のキタニさんは何もしないんです」

Aさん:「チュウさん、試作パート進めてくれてありがとう。本来なら営業の キタニさんが進んで数量調整やるべきですよね!キタニさんも チュウさんが数量の件を進めてくれているから任せているだけだと思うよ。今後はもう関わらなくてよいと思う」

ぼく:「そうですね。チュウさんは今後数量調整にかかわらなくて良いです。マーケティングの問い合わせに丁寧に回答いただいたので、相手も進め方を理解したと思います。チュウさん、ありがとう」

チュウさん:「アリオカさん、コバヤシさんありがとうございます。数量の件は、今後関わらないようにします。このチームで本当に良かったです。安心して進められます!他チームではひとりぼっちで仕事を進めてつらくなって休んでしまう人が多いと聞いてます。この間も一緒に仕事をしている他部署の若い人が休んでしまいました。他部署の若い人がワタシたちのチームと関わる時は、出来るだけ支えてあげたいと思いました。ワタシたちにはこのチームがあるので。」

チュウさんの話を聞いて、改めてチームの支えがメンバー一人一人にとって大切なんだと実感しました。「他部署の若い人を支えてあげる」については他メンバーも共感していました。そうだ!みんなで支えあって前進していこう!

<チーム朝会でやってきたこと>
ぼくのチームは朝会を毎日30分〜1時間程度やっています。メンバーは業務上の課題や問題点または上手くいったことがメインではあるけれども、自分の体調や家族のことも話します。怒っていること、不安なこと、悔しかったこと、落ち込んだこと、うれしかったことも話します。話したいことなら何でもいいんです。メンバー全員で聞いていきます。

これまで約2年半の間、チーム朝会をやってきての感想は、仕事とプライベートと感情は地続きになっていて、どこかに詰まりがあると仕事が上手く流れないんだなあということ。

だから、メンバーからこうした多面的な情報を表に出してもらって、チームで共有して、上手くいっていることがあれば「スゴイじゃん!」と賞賛しあったり、問題について解決策が見えなくとも一緒に悩んでみたり、怒っていることや悔しかったことがあれば共感し合ったり、大変な思いをしていれば応援しあったり、手伝えることは申し出たりして、チームがメンバーに寄り添い支えます。ぼくはこうしてチームを育てているつもりです。チームのチカラを感じます。

今回のチュウさんの件で、ぼくが目指すチームのあり方がカタチになっているのを感じることができて励みになりました。メンバーのみんな、ありがとう。

大丈夫。あなたを支えるチームがある!

「あるもの」をつなぐ No.14 小林シンイチロウ” に対して5件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    小林さんへ

     こんにちは。外は雲ひとつない晴天です。まるで小林さんの清々しさのようですね。たとえ雲っていたとしても、小林さんには雲を突き抜けて青空を見る力があるんだろうな。

     新しい職場に勤め始めて5ヶ月が経ちます。月に一回、従業員全員のミーティングがあるのですが、私は9月までひと言も発言していません。自分でもおかしいくらい喋れませんでした。理由はよくわかりませんが、自分の仕事に自信がなかったのかもしれません。
     その後、9月に退職される方の送別会がありました。久しぶりのお酒もあってか何人かの先輩とお話ししながら自然と仕事への思いも聞いてもらうことが出来ました。あとで振り返って「やっと仲間になれた」ような安心感がありました。そして10月のミーティングでは、ついに発言することができたのです。内容の良し悪しはともかく自分でも一皮剥けた気がしました。コラムを読んでいてそんなことを思い出していました。

     最近、職場内にくすぼっている問題があります。すでに退職の意向を伝えた人もいるようです。小林さんが仰った「組織の問題は組織で改善する」ようにしたくアプローチのしかたに思い巡らせていたところです。なんせまだまだ新入りなんで誘導するには時間も必要なんですね。今回のお話の「朝礼の雑談」から始めてみるのはハードルも低くて効果ありそうです。
     この青空のようにいずれスッキリした職場になりたいです。しかし、パートの自分が職場のことを考えるなんて面白いですね😁

    1. 青木安輝 より:

      おっくん、いいぞ~。頑張れ~!

      1. 谷奥勝美 より:

        はーい🙋‍♀️

  2. 小林進一郎 より:

    おっくんへ

    コメントありがとうございます。
    お返事おそくなりました。年末に向けてイベントがあるので余裕が無くドタバタしてます 汗

    先輩と話しができてよかったですね。「仲間になれた安心感」分かります!ここに居てもいいと思える安堵感。メンバーとの雑談はこの安心感をつくっているのかもしれません。

    おまけに一皮剝けるくらいの経験ができたなんてすごいですね!

    次の一歩も楽しみにしています♪

    1. おっくん より:

       小林さん、ありがとうございます。
       このブログでの4人の執筆者の記事は、僕にとって人生の応援歌なんです。(ちょっと大袈裟?)人には場所や空間、時間が違っても変わらないものってありますよね。その宝物を見つけ出せたらラッキーなんだなあ☺️
       そして小林さんたちと同じように、自分自身ではなく、周りの人達と分かり合えることが素晴らしいことなんですよね。そんな菩薩のような境界を目指してガンバ、ガンバ😁

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