快く生きる日々 No.16 渡辺照子

「目的の中に目的を作って継続する」

「継続は力なり」って言葉がある。この格言にはとても魅かれる。というのは、「継続」ってことがなかなか自分には難しいからだ。意味を調べてみると、三つの解釈があるそうだ。

1.個々としての成果は微々たるものであっても、地道に成果を積み重ねていけば、いずれは目標を達成できる。

2.今現状としては実力不足でも、くじけずに訓練していけば、いつかは大成できる。

3.物事を成し遂げるまであきらめずに取り組み続けるということ、それ自体が才能の一つである。

                            「コトバの意味辞典」より

日ごろ運動をしたいと思っていても日々に忙殺され、思うようにできていなかった。そんなある休日、母からの預かりものを妹の家に届けようと思って、運動がてら歩いてみた。私の家は赤城山のふもとにあるので、市街地平地にある妹の家に行くには、ひたすら南へ下ればよい。往復で10キロ。無事に行ってくることができた。結構歩けるものだなあ。

目的さえあれば体が動くことを味わった私は、今度はハガキを一枚、とある朝、郵便局本局に出しにいってみることにした。ポストは家の近くにあるけれどあえて。局があるところは、妹の家とは正反対の方向で、片道3キロひたすら北へ上る。

郵便局に近づくころ、80は優に超えた男性がこちらに向かって下ってくる。リュックを背負って両手に手袋をして、いかにも歩くぞっていうスタイル。すれ違う時、その方が折り目正しく会釈をしてくれた。投函し終えた私は、折り返してその男性と同じ方向に歩いて家に戻る。歩きながら、❝あの方何歳かな。あんなに高齢なのにいつも歩いているみたいな感じするな。どうしてあの年齢で、歩くことを継続できているんだろう。何か秘訣があるのかな。聞いてみたいな。❞っていう気持ちがむくむくと湧いてきた。さっき会釈もしてくれたし、いい感じの方だろうなと走って追いついて、話しかけてみた。私が話し始めるなり、その方はすごく驚いて、ワナワナする感じで、拒絶ムード。❝ああ、この方は、コミュニケーションが好きな方ではなさそうだ。それなのに訊くのは申しわけないな。でも、図々しくここはきいてしまおう。実践している方の話はきっと深いだろう。❞と半ば強引に話しかけてみた結果は、「歩く目的は、睡眠の質を上げたいから。二日に一度、スーパーマーケットまで、買い物に行く。」ということを最小限の言葉で語ってくれた。一刻も早く去ってくれっていう感じだったので、お礼を言って去った。

それにしても、その方に最初にお会いしたところからスーパーマーケットまでは、ほぼ3キロ。実はもっともっと北の方にご自宅があるとするなら、80歳越えの年齢で、往復6キロ以上の道のりを帰りはひたすら上り坂を、荷物を背負って帰る。すごいなあ。しかも二日に一遍。

この方の行動が継続する源泉を思ってみたら、目的の中に目的を持たせているということが分かった。「睡眠の質を上げる」という目的のために歩く。歩くために、「スーパーマーケットで買い物をする」という目的を設けていた。このような構造を作ることが行動の継続に繋がるのかもしれない。

・・・という気づきを、友人に話していたら、「あなたに同じような体験はないの?」ときかれて思い出したことがあった。それは・・・。

私は現在、コーチングのコーチの仕事をしているが、20年前、学校でコーチングを学ぶ必要があった。今はリモートで学ぶのは普通のことだが、当時電話で毎週1回3年間学び続けた。学ぶために50万円が必要だったが、当時専業主婦だった私は、自分のために50万円をかけるのに躊躇があった。通信教育の類いを最後まで終えたことがない私が、いつものように途中でやめることになったらもったいないと思った。そこで私は、まず、9月1日から11月3日まで、一日にも欠かさず走る練習をして、11月3日の県民マラソンで、10キロコースを完走できたら、コーチング学校に申し込もう。「学びを完結する」という目的のために、「県民マラソン10キロコースで完走する」という目的を作り、毎日20分走ることを行った。実は、走り始めのころ、毎日20分走るシステムを確立するために、友達ご夫妻に協力を仰ぎ、毎日走って行って、ご夫妻の家の垣根のところに、石ころを置くので、それを確認してほしい。21日間継続できたらビールをおごって欲しいと。このように目的の中に目的を作って、継続できた体験が私にもあったのだ。(21日後、もちろんビールはおごってもらえました。えへ。)

私の好きな言葉に、イチローさんの

「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところに行くただ一つの道だと思っています。」

がある。これって、ソリューションフォーカスでいうところの「スモールステップ」だ。目的の中に目的を作って細分化してスモールステップにすると、継続しやすくなるっていうことがいえるんじゃないかなあ。

さて、帰宅して玄関のところの鏡に映った自分を見たら、吹き出してしまった。なぜかって、あの男性が驚愕した意味が分かったからだ。私はニット帽を目深にかぶり、顔全体を柄入りの大きな布マスクで覆い、さらにわずかに出ている目のところはサングラスで覆っていた。これじゃあまるで強盗。驚かれるのも無理はない。あの方は私と会話したくなかったというより、シンプルに私の見た目が怖かっただけかも。

快く生きる日々 No.16 渡辺照子” に対して4件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    渡辺さんへ

     まずは「現在と過去と未来の交差するkanreki」の世界へようこそ!

    「継続は力なり」・・・が尊ばれるってことは、人間はやはり易きに流れるんだなあって、自分を振り返ってしまいますね🥲 
     でもSF的に明るい未来を展望した時に、現在の自分も肯定されるし、過去の経験も生かされてくるのはありがたいですね😊 
     このような好循環に陥ると、僕みたいな単純な人間ほどアドレナリンの匂いに敏感になって、更に匂いの方向に進んでいくことができる。「起こったことが最善の結果」なら善きも悪ろきも次の善の方向に向かえる原因となる、と思える今日この頃である。

     例えば最近の出来事(FBに投稿済み)に職場での勉強会で講師役の私に良い評価が立ったことに気を良くして、次回の月一回のミーティングからSFの時間をもらえないかともくろみ中。僕には良い感じに見えていた職場の女性陣に不協和音が出ていると小耳に挟んだので、事実であれば早めの対処が出来ればと思った次第。押さず引かずでやってみましょう!(相変わらず目の前の現象に行き当たりばったりの人生です)

    それはそうと次回、その人に出会ったら
    「おーい、おじいさんよー。せっかく渡辺さんに会うたんやったら、ゆっくりお話ししなはれ。そしたらよーく眠れるわ。」と伝えてくださいね。そしてその時はマスクを外した笑顔でね😁

    (ウォーキングが継続されていることを祈りつつ)

  2. 渡辺照子 より:

    おっ君、いつもコメントありがとうございます。
    この度もありがとうございます。

    にこちゃんマークを適切に使い分けているところ、いい感じだなって思います。
    それで、SF的境地を「原因」という言葉を使って表現している辺りが、
    おっ君、神の領域に足を突っ込んでいる感じがします。

    SFを学び実践していた組織を離れた後も、新たな組織で
    SF実践を進めているそのご姿勢、心の底から素敵だなあと思います。

    「押さず引かずでやってみましょう!」・・・これこそが上手くいくコツかなって
    思います。ぜひこれからも、その後のミーティングの様子とか
    教えてください。

    私と話すと相手の方がよく眠れる・・・その境地を目指したいです。

    それから、私のウオーキング(運動)を継続させる目的として、
    7月に屋久杉に会いに行くことを設定しました。
    屋久杉に会うためには一日10時間歩くそうですが、
    それを成功させるためのさらなる目的づくり、何にしようかな~。

    1. おっくん より:

       おはようございます。
      朝起きるとクリスマスプレゼントが届いていたように、優しい気持ちに。

       神・・・いつかは鳥や蝶のように自由に飛び回りたいですね。人間だけが悩める特権を得たのだから、今は楽しんでみることにしましょうか。屋久杉に出会ったら「長い間見守ってくれてありがとう」とお伝えくださいね♪☆

      1. 渡辺照子 より:

        おっ君、私の関わりが、お気持ちがやさしくなることにつながったとするなら、
        本当、嬉しいことです。屋久杉にきっと伝えます。尊敬と感謝を。

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