諏訪太郎の日々の気づきシェアリング No.36

先日、本部の会議室で開かれた会議に出席した際のことです。普段はなかなか話す機会のない、私にとっては大先輩にあたる60代の方が会議の進行役を務められていました。

その先輩とは、ほんの数週間前にバスの時刻変更でメールをやりとりしただけだったのですが、それだけでもなんとなく親近感が湧いていて、会議が始まる前から「今日、どんな話をするんだろう」と先輩の話を楽しみにしていました。

会議が始まると、先輩はこれまでに培ってこられた豊富な経験談を次々と語り始められました。そのお話はどれも、現場での苦労や工夫に裏打ちされたもので、一つひとつが非常に実感がこもっていて、驚くほど分かりやすいのです。気がつけば、自然とメモを取る手が止まらなくなっていました。

会議が終わり、皆が帰り支度を始める中、私は思い切って先輩に声をかけてみることにしました。私のひと言に、先輩は穏やかな笑顔を見せてくださり、「その後、どうですか?」と気さくに問いかけてくださったのです。その瞬間、先輩との距離がぐっと縮まったような気がしました。

大先輩が語ってくれた誰にも話せない話

「その後、どうですか?」と聞かれ、私はその場で自身の近況を簡単にお伝えしました。そして、今度は私の方から先輩に「最近はお忙しいですか?」と尋ねてみました。私の問いかけに、先輩は一瞬視線を落とし、現場の厳しい状況を話し始められたのです。

「いやぁ、それがさ、人が増えないのに仕事ばかりどんどん増えてきてね」

「俺、もう60過ぎなんだよ、もうすぐ定年とは思えないよ」

「後任を育てないといけないんだけど、そんな暇もないんだよ」

その話し方から、やるべきことに追われる日々の大変さが痛いほど伝わってきました。私は、きっと普段の職場ではなかなか口にできない、込み入った本音をここで打ち明けてくださっているのだと直感しました。そして、そのような個人的な話を、私のような若輩者に話してくださったことに、「この方は私を信用してくれているんだな」と思い、私は心から嬉しくなりました。

その場にいた私にできることは、ただじっくりと耳を傾けることだけでした。特別なアドバイスをするわけでもなく、ただ静かに頷きながら話を聞いていると、先輩の声は次第に優しくなり、話し終えた後には、少しだけ心が軽くなったように見えました。そのとき私は、「人は、ただ聞いてもらえるだけで、こんなにも元気を取り戻すことができるのだ」ということを改めて深く感じたのでした。

小さなことから未来は変えられる

今回の出来事を通じて、私は改めて「小さなことの積み重ねがどれほど大きな力を持つのか」を実感しました。

最初は、バスの時刻変更に関するメールのやり取りという、ごく些細なことから始まりました。それから、会議で先輩のお話を真剣に聞き、会議が終わった後に感謝の気持ちを込めて声をかける。

このような小さなやり取りを繰り返すうちに、気がつけば先輩がご自身の苦労話を打ち明けてくださるまでに、私に心を許していただけるようになっていたのです。

それはまさに、「こんな小さなこと?」と思えるような、一つひとつの小さな行動が積み重なって生まれた信頼関係でした。「大きなことを成し遂げるには時間もエネルギーもかかるけれど、小さなことなら今すぐできる」。

その一歩一歩が着実に積み上がっていくと、やがて未来は少しずつ、しかし確実に良い方向へと変わっていくことを知りました。

これからも、今日できるほんの小さなことに意識を向けて、日々の生活の中に「できたこと」を一つひとつ増やしていきたいと思っています。そうすることで、きっと自分だけでなく周りの人との関係やその先にある未来も、今よりずっと明るい方向に広がっていくはずです。

皆さんもぜひ、日々の暮らしの中で「今すぐできる小さな一歩」を探してみませんか? きっとその積み重ねが、やがて大きな変化につながっていくことでしょう。

諏訪太郎の日々の気づきシェアリング No.36” に対して1件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    諏訪先生へ

     「こんな小さなこと?」・・・諏訪さんがいつも大切にされていることなんですよね!

     じつは前にも見た(読んだ)ことがあるなと思って諏訪さんのブログをさらっと見返したら出てきました。例えばNo.2の協力会社との業務月報へのコメントやNo.6の交換日記日報でのスタッフどのやりとり(ほかにもあるかも)。諏訪さんのさりげない気遣いがちゃんと相手に届いているから生まれるハーモニーがあるんですね!

     少し大袈裟ですが、日本の一億二千万の人に会うことは不可能です。そう思うと普段顔を合わせる人々やたとえ一期一会であってもすれ違う人々とはなんらかの縁があるのかなと思ってしまいます。きっとそこにはお互いに影響し合える瞬間もあるのだと。諏訪さんはそんな出会いを察知する名人なのかもしれませんね😊

     今回のお話に登場する大先輩との出会いも「バスの時刻変更メール」がきっかけで実際にお会いすることになり、お話をすることができたことは、新しいドラマの始まりのようです。これからその大先輩と交わすメールや、たとえ業務でなくても心を交わす短いメール(言葉)がお互いの環境が良い方向に変わる力になっていくような気がしています。

     定年退職して思うことは、人には人生の舞台が必要で、さまざまな考えの人と毎日出会える職場はその最前線であるようです。現役でマネージャーとして力を発揮する諏訪さんには、ご自身の思うままに周りの人々への関わりを楽しんでいただきたいと思っています。 
     次回のブログも楽しみにしてますよ!
    おっくんより

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