「明日から使える SF仕事術」No.20 諏訪太郎
SFは我慢することも大切
SFというと、「相手を認める」、「問題に焦点を当てない」など、前向きなイメージが強いですよね。でも、マネジメントでSFを活用する場合には、「我慢すること」が大切ではないかと思うんです。実際に、上司が我慢すればするほど、部下のモチベーションはあがり、職場の数字は上がっていきます。「上司が我慢をするSF」とは、どんなSFでしょうか。
本部の全社販促の私たちのチームに、期待の新人の高橋さんが異動してきました。高橋さんは、販促未経験のゲームが大好きな20代後半の女性。以前から販促の業務を希望していたようで、今回の異動で販促の業務を担当できることを喜んでいました。
そんな高橋さんに私たちが期待していたのは、新しい目で全社販促の業務を見てもらうことでした。高橋さんは、私たちと違う業務を担当していたので、私たちとは違った見方をすることができます。高橋さんには、新しい目で販促業務を見てもらい、販促業務を今よりも良い形に変えていくアドバイスをもらいたいと思っていました。
半月が過ぎる頃には、高橋さんもなんとなく販促の業務がわかってきて、色々とアドバイスをしてくれるようになりました。
「SGDs課のキャラクターを借りて、販促イベントをやったらどうですか?」
「もっと販促にLINEやインスタを活用してはどうですか?」
「この報告書は作成する必要あるのでしょうか?」
それらの質問を受けるたびに、私の頭も固くなったなと思いました。なぜなら、高橋さんのフレッシュな意見を聞くたびに、頭の中に「いや~、それ難しいんだよね」と言い訳をしようとする自分がいたからです。
多くの上司は、色々な経験をしていますし、色々な成功体験や失敗体験をしています。なので、新しい意見を聞くと、これまでの経験に照らし合わせて答えを出そうとします。でも、上司が出した答えが、本当に正しいかはやってみないと分からないですよね。
上司が失敗した時には、「タイミング」が悪かったのかもしれません。「やり方」が間違っていたのかもしれません。上司が言いたいことが部下にきちんと「伝わってなかった」のかもしれません。
なので、もし部下から新しい提案があったとしたら、上司は今までの自分の経験を話すのではなく、部下の意見を深く聞いて、それを実際にやらせてみることが上司の仕事だと思っています。部下がやることが、上司である皆さんが過去に失敗していたとしたら、不安な気持ちになるかもそれません。でも、それに対して責任を取るのが上司の仕事ですし、同じように失敗しないように寄り添うことが上司の仕事だと思うんです。
高橋さんには、毎週、各所に配信している、販促チームからのメールを担当してもらいました。何度か実際にやってもらうと、高橋さんはすぐに3つの改善点を提案してくれました。
- 長文だと読まれなくなるので短文で書く
- テーマはわかりやすく3つに絞り込む
- 添付のPDFは数枚添付する場合は1つにまとめる
私は、「これでメールを配信してみてようか」と伝えました。すると、次の週から高橋さんは、メールの内容が簡潔に相手に伝わるように、一生懸命メール文を考えてくれました。
高橋さんのメールの改善の効果はどうかと言いますと、他部門からも「見やすくなった」と評判は良いようです。まさに高橋さんの意図することが、みんなに伝わった好事例となりました。
実は、私がマネージャーとしてSFを使うならこの場面かなと思っています。実際に、部下に自分が決めたことをやってもらうと結果が出ます。もし、良い結果が出たら、褒めてあげて、もっと効果が出る方法を考えればいい良いでしょう。もし、良い結果が出なかったら、どうしたら上手くいくかを一緒に考えて、方向修正すればいいでしょう。
そうすることで、成功した部下のモチベーションが上がるのはもちろん、失敗した部下のモチベーションもあがります。そして、これを続けていくと、部下がどんどん提案して来てくれて、部下のモチベーションが高い職場を作ることが出来るのです。
そのために、一番大切なことは「部下からの提案」は、否定しないで受け入れてあげることです。直近の部下との会話を思い出してください。無意識のうちに「ダイヤの原石である」部下からの提案を否定していませんか。ぜひ、上司の方は部下に考えさせ、実践させる場を作ってあげてくださいね。
諏訪さんへ
ブログタイトルは、「明日から使える SF仕事術」・・・まさにこの通りだなあと思った。前号で私が勇気をもらってすぐに行動に移せたように、諏訪さんのブログには勇気と思いやりが一杯に詰まっているようだ。
そう思って諏訪さんのブログをすこーし見返してみたら、No.2、3、4・・・8・・・と今回の記事同様に部下や相手へのきめ細かな配慮の大切さが一貫して描かれている。まさしくそれは諏訪さんそのものなんだなあと思うと感慨深い。
そして、今回も拝読しながら浮かんできたワクワクがある。
日々忙しく施設の運営をしながら、子供達の療育に追われる従業員さん達。しかも夏休み期間は朝の8時から元気いっぱいに子供たちが集まってくるので一日が長い。子供たちを送り出して「やれやれ」としたらすぐに次の日がやってくる。身体も心も疲れが溜まってくるのがわかる。そんな彼女たちに少しでも「自分を認める」ような時間がプレゼントできればいいなあと思う。でしゃばらない程度にね!さあ、暑い夏を楽しんでみるとしますか。 おっくん
おっくんさん、いつもありがとうございます。
ブログを見てくれて、すぐに行動に移してくれて、とても嬉しいですし、素晴らしいなと思います。
おっくんのその行動力を私も見習おうと思いました。
夏休みの期間も、朝の8時から療育している従業員さんたちは大変ですね。
そんな時におっくんのちょっとした従業員さんを認める一言で、従業員さんたちの疲れも吹き飛びますね!
ぜひ、残り少ない、暑い夏を楽しんでください!
諏訪さんへ
諏訪さんのブログを拝読し、昔、ガソリンスタンドを運営する特約店に出向していた時のことを思い出しました。
そこは実績管理に非常に厳しい特約店でした。
真冬のある店長会議でのこと。
S店長が、「今月の重点商品はクーラーガス点検をします。」と言い出しました。
他の店長達は、「真冬にクーラーガス?あほちゃう?」と冷ややかな目。
でもS店長は、「冬だからこそ、夏場とちがってお客様の車のクーラーガスの減り具合をじっくり点検してさしあげられる。」と真剣な顔。
他の店長達「ふ~ん。じゃあ、やってみれば・・・・」とあきれ顔。
結果は・・・・・大失敗。お客様からは見向きもされず、あえなく撃沈・・・・
S店長に「なぜそうしたの?」って聞いてみたら、「部下のF君からの提案があって、いっちょその通りやったろか。」と決めたとのこと。
一切の言い訳もせず、ひたすら翌月の厳しい店長会議を耐え忍んだS店長・・・
実に立派・・・・・・
きっとF君も「この店長のためならがんばるぞー」って思っただろうなあ。
潔いなあ!S店長に幸いあれ!
豊村さん、コメントありがとうございます!
S店長の裏話が、素敵ですね!
上司として職場でSFをするときは、「覚悟」が必要なかなと思っています。
上司として、責任を取る覚悟です。
それをしっかりやっているS店長は、ソリューショニストであり、素敵な店長ですね。
こんな店長の下で働けたら、モチベーション上がりますよね。
素敵な、経験談をありがとうございます!