ゲスト投稿記事 No.4 塩田涼子さん

“教える”の呪縛から解放のきっかけとなったSF

執筆者自己紹介:
皆さん、こんにちは。鹿児島市在住の塩田涼子です。医療人事コンサルタントをしています。趣味は「毎日の生活」。ここ1,2年で価値観や喜びの基準が変わり、2022年も“自分にとって心地よい状況”をしっかり作ろうと思っています。いつも「ザ・リアル」を読むのを楽しみにしておりますが、今回2回目の記事執筆機会をいただき、とても嬉しく感謝しています。SFとの出会い、そして再受講をきっかけとした学びの機会は今も続いています。

“教える”の呪縛から解放のきっかけとなったSF

SF基本講座で様々なことを学びましたが、その中で実践して(驚き)から(感動)につながった出来事があります。それは

●肯定されることから変化の余裕が生まれる。

 「それには理由(わけ)があるんでしょうね」

この時に青木先生が話されたポイントが印象に残っています。

【理由を分かることが大事なのではなく(その人にはその人なりの大事な理由がある)というこちらのワンクッションとなる】ということ。

私の基本講座の受講目的に

*私の教育に対する固定観念(分かっていない人に教える)という考えを手放したい

*教育の場だとしても、互いの立場、経験、世界観を大切にその場で求められている目的に向かって時間を共にすることができる人になりたい。

がありました。

このような気持ちで受講していたので「その人にはその人なりの大事な理由がある」という考えが印象に残っていたのだと思います。

そんな中、とある医療機関にてスタッフとの面談でのことでした。

その医療機関は理念を掲げ、それを基に3つの成長を年間目標として立てています。スタッフは自身の専門に照らし自分の目標を立てるのですが、目標の立て方が理念や年間目標に沿っていないものもあり、目標設定ついて指導をしている時でした。

目標(3つの成長)のひとつに「人間力の成長」があります。これは技術的なスキルと違うので難しいだろうなぁ…と、思っていました。

あるスタッフが「待合室や診療室の清掃」を挙げていました。まず私が思ったのは「人間力の成長なのに勘違いしている、面談の時に指導が必要だわ」ということ。まだまだ“教える”という呪縛から解放出来ていない時です。そこで、「何か理由(わけ)があるんでしょうね」を思い出し、(清掃を挙げた理由)を聞いてみました。

その理由を聞いて、指導が必要だと思った自分に対して恥ずかしい思いがこみ上げ、次にスタッフへのリスペクトに変わり、感動したのです。スタッフ曰く、

自分にとって掃除は自分自身とつながっていると思っている。一見“掃除”は面倒だと思うが、だからこそ向き合うことは大切だと思っている。「部屋の乱れは心の乱れ」とよく聞く。それを職場に例えると、もし職場の清掃が行き届いていない所があれば、それは職場全体(スタッフ全体の)心の乱れになるのではないかと思っている。だからこそ力を入れたい。特に玄関、待合室の清掃、足元、床の清掃を丁寧にしています。清掃は心を整えることだと思っているんです。とのこと。

「ちょっと~○○さん、凄い!素晴らしいわ。」私は感動でウルウル。それに驚いたスタッフ。その後、話が盛り上がったことは言うまでもありません。

その方はどちらかと言うと控えめで言葉数は少ない方。奥に秘めた魅力に私はかなりの影響を受け、自分の家の設えや掃除に力が入るようになりました。その方とは、片づけ、設え、断捨離について時々話をするようになりました。

掃除って奥が深い。確かに自分の家、部屋がきれいになっていると心が落ち着き気分が良くなります。人が来るときだけ掃除をするのは“おもてなし”とは言わず、常に自分が気持ちよく暮らしていることが“おもてなし”で、その延長線上に“誰かをもてなす”があるんだなぁ~と、思うようになりました。

『おもてなし・ホスピタリティとはまず自分の心を整えること』まさに人間力の成長だわ!と行きついたわけです。

5回の基本講座が終わってしばらく経ちますが、私は“教える”の呪縛からだいぶ開放されてます。いい感じです。

ゲスト投稿記事 No.4 塩田涼子さん” に対して6件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    塩田さんへ

     塩田さんこんばんは、谷奥です。
    本当のこと言ってもいいですか?
    ホームページにはお綺麗で若々しい塩田さんがおられるんですが、どことなくカリスマ性を秘めたようにも見えました。
    ところが「対談」の折にお会いした塩田さんは「別人だな」と思ったのを覚えています。どう感じたかはご想像くださいね、笑

     とても心温まる体験談をありがとうございます。塩田さんが目指す教育の姿が手に取るように伝わってきますし、スタッフさんのハートを素直な気持ちで受け取った塩田さんの感動もいただきました。教える立場が逆に教えられてしまいましたね。きっとこの方達との出会いが塩田さんの殻を破るきっかけをくれたのかもしれません。
     スタッフ自身もご自分の素晴らしさに気づかれてないのも滑稽?ですが、受講生の方の思いを引き出して増幅させてあげられる講師のお仕事ってどんなに素敵なことなんだろうと思います。
     
     私、思うんですが、このようなホスピタリティのハートは、例えばサービス業の場合多くの人が自然と持ってらっしゃるんだろうと。その立場に立った時にある覚悟(患者様のために)が生まれるんではないかと自分の経験でそう思いました。そして技術や理論がその覚悟を裏付けて確信に変え、患者様の変化が喜びとなり更なる向上をもたらすのかなと。
    サービスする側も受ける側も楽しいのがいいですね。

     塩田さんはこのようなエピソード(宝)をたくさんお持ちでしょうからいっぱいお聞きしたいですね。
     
     言葉不足でうまく伝わってるか分かりませんが、只今心がワクワクしております

  2. シオタリョウコ より:

    谷奥さん、コメントありがとうございます。
    別人!? そうですよね~(笑) 確かにヘアメイクはプロにしてもらい、ホームページ用の為「よそゆき」の私です。加えて当時よりも確実に年齢を重ねておりますので仕方ない…。

    気を取り直して、コメントへのお礼を申し上げます。
    谷奥さんがおっしゃる
    『技術や理論がその覚悟を裏付けて確信に変え、患者様の変化が喜びとなり更なる向上をもたらすのかなと。』

    私の目指すホスピタリティはまさにそれです。
    「この病院は何だか心地よい。何かが違う」 サービスが嫌味なほど前面に出るのではなく”何かが違う”は感じるものです。曖昧ではありながら、その奥には全スタッフの洗練された技術とホスピタリティ精神がある。そのような接遇が文化として根付くことを目指しています。それにはまず自分自身がそうありたいといつも心に思っています。

    自分にとって大切なことを再び再確認できました。ありがとうございます。

    1. おっくん より:

      僕が「あれっ?」と思ったのは、最初のイメージより柔らかく優しそうな方だなあと感じたからなんです。笑
      現在の塩田さんの心地よさがお顔に表れていたのかなあと。年齢を重ねるのもいいもんですね!今後ともよろしくです。

  3. 小畑怜美 より:

    塩田さん、はじめまして。記事を読んでステキ!と共鳴しました。コメントさせてくださいませ^^
    私は中高生や大学の先生方へ講師やコーチの立場で関わることがよくありますが、塩田さんの大切にされている「*教育の場だとしても、互いの立場、経験、世界観を大切にその場で求められている目的に向かって時間を共にすることができる人になりたい。」という姿勢を大事に関わりたいと考えています。ですが、自分の中の正解や仮説が強く出たり、相手の期待(教えてくれ〜)に答えねばモードに入ると「教えるを手放せない」こと多しです…^^

    今回の記事では、その呪縛から自分で抜け出す一歩めのヒントをいただけたぞ!と嬉しく感じています。青木さんの「何か理由(わけ)があるんでしょうね」は私もその声が耳に残っているので(笑)さっそく現場でやってみます!

    1. 青木安輝 より:

      小畑さん、塩田さんが取り上げてくれた「何かわけがあるんでしょうね」(You must have a reason for that.)を再度取り上げてくれてありがとうございます。この視点を思い出せると、たいていのことを許せる気持ちが増します。あるいは、反射的に怒りをぶつけたくなる気持ちを抑えることができます。このセリフを口にしないまでも、こう考える人が歴史上沢山いたからこそ人類は戦いよりも協働を増やして生き延びてきてるんだろうなと、大きな気持ちになれます(笑)。

  4. シオタリョウコ より:

    小畑さん、初めまして。このたびはコメントいただきありがとうございます。

    私も小畑さんのコメントに大いに共感します。どうしても役割を持って人に向かうと、すぐに「教える人」と「教えられる人」の構図が出来上がってしまいますよね。しかし、自分で呪縛開放の道を歩み始めてから(笑)、その違和感に敏感になって一旦落ち着いて考えることが出来るようになったような気がするのです。

    先日も研修後の振り返りシートで、「教えて~」の質問を長文で書いてきた方に「まずはあなたが自分で調べることが取り組みの第一歩です」と、答えました。笑

    小畑さん、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

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