「あるもの」をつなぐ No.30 シンイチロウ

コイデさんの解決志向                             ~相手の可能性がひらく関わりをしていこう!~

コイデさんは60オーバーのシニア社員です。ぼくのチームに来てから5年目になります。言い方が悪いかもしれませんが、コイデさんは前にいた部門から追い出されてぼくのチームに来ました。追い出された理由は「まったく仕事をしない」ということでした。

でも、ぼくのチームにきてコイデさんが話してくれたのは、「前の部門のメンバーはオレの話をちっとも聞かない。だから話してもしょうがない」というのです。だから仕事の報連相もいっさいしなかったというのです。

あれから5年。コイデさんは環境テーマの仕事で日本を含む海外全てを仕切る活動で大活躍しています。「まったく仕事をしない人」から「全社の環境PJをグローバルで進める開発リーダー」へ変貌したんです。しかもシニア社員になってから益々活躍をしているんです。

今では仕事の報連相もちゃんとしてくれますし、嫌がっていた成果報告の資料作りも自分でやってくれるようになりました。成果もしっかり出してシニアの中では最も高い評価をされています。報連相も資料作りも当たり前と思う方もいるかもしれませんが、ぼくにとっては奇跡のような出来事なんです。

5年前、コイデさんがあのまま前の部門にいたらと思うと・・ちょっと怖くなります。コイデさんの可能性がひらく環境ではなかったんです。その可能性が埋もれたままになってしまうのは、コイデさんにとっても、会社にとっても残念なことです。

今回の話は、そのコイデさんが他の人の可能性をひらいていこうとしている話です。解決志向は伝播する、ってよく言いますけど、まさにそれを目の当たりにしたので共有したいと思います。

ワランのモチベーションをなんとかしたい

先日、海外現法のある国(T国とします)との進捗ミーティングがありました。T国は課題の多い国で現状分析が進んでないんですね。

「T国のメンバーは目的の理解もあまり進んでないし、検証に入ったら難儀しそうだね。。」

なんて話してました。

そこで、コイデさんはT国の現地スタッフであるワランさん(仮名)に環境PJに入ってもらうように頼んだんです。なぜワランさんなのか?

コイデさんは、T国に仕事で滞在していたことがありました。その時に現地スタッフのワランさんにデザイン制作の指導をしていたんです。OJTですね。

コイデさんはワランさんを可愛がっていました。日本に戻ってからも個人的に交流は続いていたようです。コイデさんはワランさんをいつも気にかけていたんです。

現在ではお互い歳をとってコイデさんは定年を迎え、ワランさんも役職が外れる歳になりました。そんな中で、ワランさんのモチベーションが下がっていることが気になっていたそうです。

得意なことで活躍してもらいたい・・

ワランさんは、以前はとても成長意欲が高くて様々な仕事にチャレンジしていたそうです。でも最近は自分は会社に貢献できてないんじゃないかとか、必要とされてないんじゃないかとかネガティブなことばかり話していたようです。コイデさんはとても心配していました。

で、ちょうど全社の環境PJをコイデさんが旗を振っていくことになったので、ワランさんをT国のPJメンバーに入れて、得意なデザインや仕様の開発で全社に貢献してもらおうと考えたんですね。

コイデさん

「コバちゃんさあ(ぼくのこと)、ワランってさあ、昔は元気良くてすごい前向きに仕事してたんだよね。でも最近さあ、ネガティブなことばっかり言うの。役職定年で給料下がったり、若い人どんどん出てくるからモチベーション下がるのも分かるんだけどさあ。だから、このPJに入ってもらって、オレたちと一緒に仕事をして、あいつの得意なことで活躍してもらいたいんだよね。あいつ、まだまだやれるのにもったいないじゃん」

ぼく

「いいじゃん!すっごく良いアイデアですよ。ワランさんじゃないと出来ないことありますしね。さすがコイデさんです!」

ぼくはコイデさんの優しさに触れて胸が熱くなるのを感じました。すぐに感動してしまう笑。と同時に、解決志向ってやっぱり伝播していくんだな、人を介してもっと遠くへ届くんだなと実感したんです。

ぼくはコイデさんに解決志向ってこういう考え方で、こう使うんだよと教えたわけじゃないんです。解決志向で一緒に仕事をしていく中で、解決志向が宿っていったんですね。

解決志向で働こう!

ワランさんが本格的にメンバー入りするのは、簡単ではないかもしれません。人員のリソースを引っ張ってくるのはとても大変です。ワランさんの上司や現PJメンバーの合意も必要です。組織で仕事を進めるには、必要な手順を踏まなければいけません。

でも、このコイデさんの提案は絶対にやらなきゃです。コイデさん、一緒に突破しよう!「絶対に」と書いたのは、このテーマはぼくが目指す解決志向の働き方そのものだからです。人の可能性をひらきながら組織や会社に貢献できる働き方そのものだからです。

相手の可能性に目を向けて、可能性がひらく関わりをしていこう!

「あるもの」をつなぐ No.30 シンイチロウ” に対して2件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    小林さんへ

     今の姿がコイデさん本来の姿だとしたら、人生60にして生き生きと活躍するコイデさんが目に浮かぶようで嬉しくもありますね。

    「本来の姿」なんてこれでいいと勝手に決められないし、今以上に開けてくるかもしれないし、全く未知の世界のようですがきっとどこかにあると信じたいです。そしてその扉を開く鍵は「会話」であり「出会い」であり、自分を試すことのできる「ステージ」なのかなあと最近感じています。
     小林さんとの出会いがそんな世界への入り口たったんだろうなって。

     例えば悪いですが、雑草は自然といつの間にか映えてきます。どうやらそんな強さを感じています。
    小林さんのほほえみも見えてますよ。

    おっくん

    1. シンイチロウ より:

      おっくんへ

      コメントありがとうございます。
      そうですね、コイデさん生き生きしていますよ。

      人の可能性ってわからないなあって思います。
      でも可能性がひらくと生き生きしてくるのはわかります。

      「このグループにきてオレは本当に幸せだったよ」と黒びかりした笑顔で卒業してくれることを夢見ています。おっくん、引き続き応援よろしくお願いします!

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