「あるもの」をつなぐ No.28 小林シンイチロウ

好きのチカラ

今回は絵本作家になりたい会社の同僚の話です。「好き」が突き動かすエネルギーを感じた経験です。

Fさんが絵本作家に挑戦!

先日、職場の同僚Fさんが初めて描いた絵本を出版社に応募しました。絵本作家になるためです。小さいお子さんや親御さんのお世話、忙しい仕事を抱えながらコツコツ描いてきました。

そして3年越しで完成。ぼくもこれまでの努力を知っているので嬉しかったです。Fさん、よかったね!

この3年の道のりは決して平たんなものではありませんでした。ご家庭の事情で悩まれていた時期、思うような仕事ができず会社を辞めたいという時期もありました。絵本を描けるような状況ではないことも何度となくあったんです。

でもFさんは絵本を描き上げて出版社に応募するまでやり遂げました。結果はどうなるかわかりませんが、そんなことより3年かけてもやり遂げたことでいいんじゃないか。とても大きな人生満足の一コマになったんじゃないか。Fさんの清々しい笑顔を見ててそう思ったんです。

好きだけど自信がない

Fさんは契約社員として商品デザインの仕事をしています。正社員に比べれば給与は見劣りします。決して給与に満足しているわけではありません。ぼくと話しをする3回に1回は給与のグチを言います。それでも20年以上今の会社でデザインを続けてきました。

高校時代からデザインの仕事に就きたかったそうです。ご家庭の事情を考えてお金のかからない職業学校に通い、デザインの勉強をしてきました。「お金があったら美大に通いたかった」とよく話しています。でもね、今では希望していた立派なデザインの仕事をしています。

お子様が小さい時に絵本を読み聞かせしている中で絵本に興味をもったそうです。「自分も描いてみたい!」と思ったんです。

3年ほど前から描き始めました。で、1年後くらいでしょうか。ぼくにもその絵本を就業時間中に見せてくれるようになったんです。

Fさん

「コバヤシさん、いま絵本書いてるんだけどね、ヘタくそなんだけど見てくれる?本当、ヘタくそなの」

ぼく

「絵本描いてんの!?すごいじゃん!見せてよ~」

Fさん

「見せたら褒めてくれる?」

ぼく

「当たり前じゃん!仕事忙しいのに描いているだけですごいよ!」

どうしてぼくに見せてくれるようになったかというと、「褒めてくれそうだから」ということでした。絵本を描くことは好きだけど自信がなかったそうです。だから誰かに見てもらって励みにしたかったんだと思います。

その後、2か月に1回ぐらいのペースでしょうか。絵本の原稿をぼくに見せてくれるようになったんです。毎回見せてもらうのを楽しみにしていました。

誰かに背中を押してほしい

そして1か月ほど前でしょうか。ランチ時にFさんに会うと開口一番、

Fさん

「どうしよう・・締め切りに間に合わない・・」

なんと出版社への応募締め切りが間近なのに原稿が書きあがっていないというのです。

Fさん

「まだ完ペキじゃないんだよね・・出せないよ」

ぼく

「あと納期までどれくらい?」

Fさん

「1週間くらい・・」

ぼく

「じゃあ、1週間でできるとこまでやろう!納得いかないかもだけど、出版社に原稿提出までやってみよう!完ペキなんて一生やってこないんだもん。そうすればきっと次に進めるよ」

なんだかソリューションフォーカスとは程遠いコメントかもわかりませんが、ぼくが思っていたことをそのまま伝えました。ぼくには「コバヤシさん、提出に踏み出す勇気が出ないんだよ。わたしの背中をポンと押して!」と言っているように聞こえたんです。そう感じたんですね。

Fさん

「そうだね、やってみる!」

でもその後1週間たってもFさんから連絡がありませんでした。

自分の納得がゴール

ぼくも全社のイベントで3週間ほど忙しかったせいもありしばらくFさんと話ができてませんでした。原稿提出が間に合ったか気になっていました。

つい先日、仕事中にチャットが入りました。「提出したよ!」とのこと。「よし!」と思わずガッツポーズをとってしまいました。

ランチ時に提出原稿のコピーを見てほしいということだったので、広い部屋へ行って一緒に原稿を見ました。とても素敵に仕上がっていてわんぱくな子供が喜びそうな内容です。

しかし、Fさんから驚きの一言がありました。

Fさん

「でもさ~、納期1週間すぎちゃってから提出したんだけど大丈夫かなあ?でもなんかやりきったって感じでスッキリしてる」

ん?んん?納期を過ぎてから提出したってこと?思わず「なんでよー!」と叫びたくなりそうでしたけど、ぐっとこらえました。

ぼく

「そっか、そっかあ(苦笑)。納期おくれちゃったかあ。でもさ、ちゃんと提出までやりとげられたじゃん!あとは結果を待つのみだね!」

あれほど原稿提出を嫌がっていた中で、納期が遅れたにせよ原稿提出できたのはFさんの絵本作家という夢に向かって大きな前進に感じました。

で、3年という長い期間、描けない時期もあったと話していました。それでもか続けることを支えてきたもの何だろう。

ぼく

「Fさんさあ、3年間も絵本を描き続けるってめちゃくちゃ大変だったと思うんだよね。そばで見ていて本当にすごいなって思った。なんで続けてこれたの?」

Fさん

「好きだから。わたし、絵本描くの好きなんだよね。描きながら分かった。ヘタクソだけど好きだから続けてきた。あとね、これは性格かもしれないけど、わたししつこいの。遠回りも多いけどしつこいからやってこれたと思う」

好き・・しつこい・・ぼくのソリューションフォーカスへの想いとどこか似てるなあ。Fさん、これからも応援させてください。ぼくにもキミの夢を一緒にみさせてください!

ヘタクソだって好きならいいじゃないか!ありたい姿に突き進もう!

「あるもの」をつなぐ No.28 小林シンイチロウ” に対して3件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    小林さんへ

     うーん、Fさんの想いにもいろいろ教えられるなぁ!「ヘタクソだけど好きで続けてきた」のこのひと言に尽きるのですよね。人を突き動かすものって本当はシンプルなんだろうなあって思います。損得勘定のないそんなシンプルさはついつい応援したくなりますよね。小林さんのお気持ちもお察しいたします。

     青木さんもコラムの紹介に書かれていましたが、「この人に聞いてもらいたい」って言ってもらえるのも小林さんの生き方の証明なんでしょうね。うーん、本物に会いたくなってきましたよー❣️褒めてくれるかなあ😊

  2. シンイチロウ より:

    おっくんへ

    コメントありがとうございます。人を突き動かす・・シンプルかもしれないです。ぼくは圧倒的に熱量じゃないかと思ってます。ぼくがやりたくても出来ないことを熱量を持ってやってる人、そんな人を応援したくなっちゃいますね。

    本物に会いたくなりました?熱量高めで暑苦しいかもしれませんよ笑

    1. おっくん より:

      いいねえ😊

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