「あるもの」をつなぐ No.6 小林シンイチロウ

一人一人を支え、主体性を育てる組織づくり

2021年12月25日クリスマス。昨日はチキンを食べ過ぎてやや胃が痛いのですが、今年最後のブログを書かせていただいています。今回はこの1年を通じて解決志向の組織について考えたことを思いのまま書きました。ちょっとカタいテーマかもしれませんが、お付き合いください。

<組織の変化>

ここ1週間、来期目標を達成するための5つの戦略をつくりながら1年を振り返っていました。メンバーと共に走り抜けた1年だったなあと感慨深いです。とてもとても大きな1年でした。

5つの戦略はメンバーが「主役」です。会社や組織の方針に添いながらも、メンバーが「大切にしていること」、「重要だと思っていること」、「関心ごと」、「できること」、「やってみたいこと」とつながるように描いています。メンバーとも討議を重ねてきました。

そして昨日、完成した5つの戦略をメンバーに説明しました。リモート越しでしたが、真剣に聞いてくれている様子が分かり、こちらも力が入りました。2年前にはこんなグループになれるとは考えられなかったなあ 涙。

<波乱の幕開け>

2020年1月からの振り返りを少しさせてください。

2020年1月、グループごとマーケティング部門から営業部門へ移動となりました。メンバーは大反対でした。その後すぐに新型コロナウィルスの影響で2月からリモート在宅がはじまり、大波乱の1年がスタート。

メンバーは新しい部門で、リモートという新しい仕事のやり方で、2倍の業務量の仕事を進めることに大きな不安や負担を感じていました。「小林さん、なんとかしてください!」と何度も詰められたものです。

もちろん、ぼくも不安でいっぱいでしたし、先が見えない状況で、「なんとかしなければ・・」と焦りしかありませんでした。

<リモート朝会でメンバー間の会話に変化>

リモート在宅になり、業務の報連相のためにリモート朝会を実施するようになりました。時間は約1時間。このリモート朝会によってメンバーの姿勢やメンバー同士の関係性が大きく変わったのです。

コロナで一人一人が大変な生活を強いられている中、朝会はメンバーが不安や困っていることを言葉にして共感し合う場になりました。感染予防のこと、子供の学校が休校になったこと、便利なネットスーパーの情報、ウソかホントか分かりませんがコロナに効く薬の情報などなど。共感し合えることがたくさんありました。

ぼくはその様子を見ていて会話がなかったメンバー同士が会話をしていることに大きな価値を感じました。朝会は1時間を超えることもしょっちゅうでしたが、この朝会を安全基地として位置付けて、どんな会話でも容認して継続しました。

やがて、このリモート朝会が業績成果へつながる礎になっていったのです。

<抱えた迷いや不安を和らげるのも組織の力>

コロナ生活も定着した頃、朝会の会話を業務上の報連相へ比重を移していきました。テーマは業務上の報連相ですが、メンバーが話したいことを話してもらうようにしています。

朝会は業務上の問題を解決する場であると同時に、悩みや迷いなどの気持ちまで含めて発信できる場になっています。自然とそんな場になっていきました。気持ちを含めたメンバー間でのシェアにより、お互いの理解が深まり、協力姿勢も見られるようになりました。「組織の底力」が高まっていく様子が垣間見えた気がします。

組織の受容する力が、メンバー一人一人を支えてくれることを学びました。

<安心できる組織から生まれる主体性>

一人一人を支える組織のもとでは、主体性を発揮しやすいのではないかと感じています。冒険しても助けてくれるんです。迷ったら相談にのってくれて、悩んだら話を聞いてくれる。そんな組織が土台にあれば、攻めの行動を起こそうと思えます。

ぼくのグループのメンバーは、以前受け身で仕事をしていて、文句ばかり言っていました。

大事な仕事をお願いしても「納期がなさ過ぎてできるわけないじゃん!」「その仕事やる必要ある?意味ないよ!」という言葉が十中八九でした。

しかし、この1年間で「どうしたら対応できるか」を考えるようになってくれました。「営業から急ぎでデザイン素材の提供依頼が増えてきました。今後も対応してあげたいのでMACを購入してください。イラストレーター勉強して対応してあげたいんです!」など。以前の姿からは想像もできない言葉が出てくることがあります。

組織の受容する力がメンバー一人一人の主体性を引き出すことを学びました。

<最後に>

「あるものをつなぐ」という大テーマで記事を書いてきました。下記に簡単に要約しています。No2,3は部下とのSFマネジメント、No1とNo6は組織を活用したSFマネジメントになります。興味がありましたら記事を読んでいただければ幸いです。

No1では、組織風土改善の取り組み。組織の中ですでにある良いコミュニケーションを吸い上げて、組織の業績向上へつなげていく仕組みづくり。

No2では、個人がうまくやれていることを観察から見つけて、成果へつなげていくマネジメント。

No3では、大切にしていることや関心ごとを対話の中から探って、成果へつなげていくマネジメント。

No4では、解決志向のスイッチが入る様子を振り返っています。解決が見つからず行き詰まった末に解決志向スイッチが入り、縛られていた枠組みを超えて解決を見つけています。

No5では、SFブロガー対談「SFマネージャー解体新書」を振り返って、参加者との意見交換から「SFマネージャー5つの特徴」をまとめています。

そして今回のNo6では、業務だけでなく悩みや迷いの気持ちも話せる場(リモート朝会)が、メンバーを支え、主体性を引き出すことにつながることを伝えています。

<お礼>

本ブログを御愛読くださりありがとうございます。ブロガー一同お礼申し上げます。来年も楽しんで頂きながら、皆様の一助になれる記事を執筆してまいります。

それでは良いお年をお迎えください!

「あるもの」をつなぐ No.6 小林シンイチロウ” に対して3件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    小林さんへ

     いよいよ今年も残り三日となりました。私の周りでも何やらせわしげになってきましたが、こうして働けることに動けることに感謝ですかね。(年寄りくさいなあ)

     朝会のことはマネージャー対談の折りに青木さんが仰ってましたが、コラムを読んでよーくわかりました。世間話などを通して等身大のお互いを理解出来ることが出来るんですね。素晴らしい取り組みだと思います。リモートだからこそできたことなのかもしれませんね。私も職場の方々と触れ合いたいのですが、皆さん忙しいようでなかなか思うようにはいかないのが現状です。
     自宅で、普段着で、リラックスしながらのおしゃべりの1時間はとても安心なひとときであるに違いありません。

     今朝のNHKラジオでこんな話がありました。
     宿題は出せば出すほど、それを早く片付けることを重視するので、結局成績は良くならないと。だから、宿題はなしに。さらに期末試験もないとのこと。そうすると生徒は喜んで遊んでしまうので、カリキュラムごとの試験を行うそうです。そして自分の点数に納得のいかない生徒には再試験も可能で点数の良い方が採用されるそうです。そうすることで生徒は出来なかったところを自ら学び直そうとするので、成績はさらに良くなっていくんだということでした。
     小林さんのマネージメントと重ねると、やらされるのではなくて自分のやるべきことを自分で考えて行動を起こすことがその人にとってとても大切なことなんだと理解しました。しかもチームの一員である自覚をもちながら。

     小林さんの仰る「あるものをつなぐ」とは、目の前にいるすべての人達を繋げるということだったのかもしれないなあ♪

     小林さんにとってもとても有意義な一年だったようですね。
    私も定年して只今迷走中ですが、新挑戦の2年目を笑顔で終えられるように頑張って参ります。
    それでは皆様良いお年をお迎えくださいませ!

  2. 小林進一郎 より:

    おっくんへ(谷奥さんへ)

    コメントありがとうございます!
    ようやく仕事を納めることができました ホッ。

    働けること、動けること、ホント感謝ですね。
    年齢を追うごとに身に染みて感じます。

    とてもおもしろいお話をありがとうございます。
    自分から勉強しようと思う機会が必要なんですね。
    仕事にも通じることですね。

    テストして成績つけて順番を決めるより、
    一人一人が自ら学んでいくことが大事なことですもんね。

    新挑戦の2年目・・素敵な年になるといいですね。
    陰ながら応援しております!

    谷奥さん、今年は大変お世話になりました!
    来年も引き続きよろしくお願い致します。

    小林シンイチロウ

    1. おっくん より:

       いや、ほんま。
      こんなふうに理解と優しさを持った上司に恵まれたなら、私ももっと違う人生だったかもしれませんね。
       人生に「もしも」はないですが、振り返ると挑戦した方が悔いがないのも事実なんだなあ。来年はもっと楽しくしよう。

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