SF伝道者の四方山話 No.7 青木安輝

2022年の「SF実践者の”ザ・リアル”」
― ブログから「SFコミュニティ」へ ―

SF実践者ブログ読者の皆様、新年のスタートはどのようなものになりましたか?コロナ禍によって様々なイベントが中止になり、僕はどうも文化的季節感が狂わされたようです。おかげで年末年始の清々しく仕切り直す感覚が例年のように自動的には訪れてくれませんでした。しかし、この「何か変だなぁ」という違和感のおかげで、逆に「今年はどうしたい?」という自問をより積極的にできたかもしれません。さて、今年はこのブログから何をどう展開したいと思ったか・・・。最後まで読んでもらえたら嬉しいです。

<目次>
1.ここまでの振り返り
2.「SFコミュニティ」について
3.SFブログ読者アンケート
4.ゲスト執筆者募集について

<1.ここまでの振り返り>

昨年の4月17日に第一号を発信したこの「SF実践者の“ザ・リアル”」ブログですが、これまでに26本の記事(4名のレギュラー執筆陣が6本づつ、ゲスト投稿が2本)を配信してきました。そして全ての記事に読者の皆様からのコメントとそれに対する執筆者からのレスポンスが掲載されています。皆さんにとってどんな記事やコメントが印象に残っていますか?それによって何を思いましたか?そこから影響を受けたことはあったでしょうか?

また昨年11月6日には、「SFマネジャー解体新書」と題して小林シンイチロウさんと諏訪太郎さんの対談プログラムを開催し、読者の皆様と有意義な学び合いの時間を持つことができました。オンラインの手軽さで、全国各地の皆様にご参加いただけるので、これからもこの種のオンラインプログラムを継続的に開催していきたいと、ブログ執筆陣一同次の企画をするのを楽しみにしているところです。そのための簡単な読者アンケートが文末にありますので、ご回答の程どうぞよろしくお願いたします。

このお正月に、ブログ開始時に書いた「SF実践者ブログの目的」や僕の第一号記事「SFはJAZZ⁉- 95%の即興と5%の構造-」を読み返してみました。あらためて何のためにこのブログを始めたのか、そしてその目的が達成される方向に向けてどれだけ前進できたかが確認できて、本当に嬉しく思いました。それは何を指すのか、簡単に一言で言えば、「SFコミュニティの誕生」です。さらに言えば、執筆者と読者の皆様の交流の中で、一人ひとりが「自分にとってSFとは何か」を再確認する機会を得ているような手応えがあったということです。

僕自身が再確認できたことは、第一号記事で書いた「僕が提供するのはSFコミュニケーションの構造(=5%)だけで、あとの95%は一人ひとりのSF実践者の個性と知恵で自由にクリエートしてもらう」というSF伝道のスタンスです。これがとてもしっくりきたので、SFを人に伝えることが今までより軽快な感覚でできるようになりました。

読者の皆様もこのブログを通じて様々なことを考え、想いを強くしたことがあると思います。読者アンケートで是非その内容を教えてください。

<2.「SFコミュニティ」について>

「SFコミュニティの誕生」と書きましたが、これは何か会員制度のようなものができたという意味ではなくて、「自分がこの人たちと繋がり続けることはお互いのエネルギーを高め合うことになる」という感覚を多くのSF実践者(体験者)が既に共有していることが明快に見えてきたという意味です。

それはブログだけを通じて感じたことではなく、以下の様々なきっかけを通じてクレシェンドでその感が強くなってきました。様々なオンラインSFプログラムへの反響、SNS上でのSF実践者の投稿や時々いただくメッセージの内容、SFワークショップを通じて知り合った人同士のその後の関係性の継続、SFを学ぶことをきっかけにできた様々なグループの良い噂話、そして「SFラーニングサポーター」の皆さんとのプログラム企画ミーティングや1月5日に実施した「SFオンライン新年会」が、とても後味の良い肯定感を高める場になった等の様々な出来事です。また、部数こそ多くはありませんが、拙著「解決志向の実践マネジメント」(河出書房新社)の増刷(第9刷)が昨年暮れに決定されたことも、SFを必要としてくださる人々が存在し続けていることの証として、「SFコミュニティー」を後押ししてくれていると感じました。

「SFオンライン新年会2022」(1月5日開催)の様子

「SFオンライン新年会」の出席者は、北海道から九州までの全国各地から、そして17年前の株式会社ソリューションフォーカス創業時のSFセミナー修了者の方から、最新のオンラインSF基本コースの修了者の方までいて、初対面同士の人も多かったのですが、「お互いにSF感覚を共有しているという安心感に由来するオープンで温かい雰囲気」(出席者の言葉)の中で、「良かったこと2021」や「やりたいこと2022」を聴き合うことができました。SF体験者であるが故に、そんなシンプルなコミュニケーションを交わすだけで、身体中のSF細胞が活性化する感じがして、終わった後は安らかな気持ちよさと明日への活力に満たされた(これも出席者の言葉)ような気がします。終了後に参加して良かったとわざわざメールをくださる方が何人もいらっしゃいました。

その新年会で、ある方がこう言いました。「SFを学んだ後にそれ以外の色々な学びの機会に参加したけど、結局どれもつまるところSFをベースにすることでうまく行く、あるいはその手法自体が用語は違っても本質的にSFと同じだと感じてしまった。」自分もそんな風に感じることがあるので、それを聴いて嬉しかったのですが、同時に「それってただの身内贔屓(自己正当化)じゃないのか」という疑念も湧きました・・・。その後、色々と考え続けてみましたが、次のように思って納得しています。

人間同士が良好な関係を築き、協働して良いことを為すという時には、多分一定の法則がある。それは霊妙かつ超包括的なものだから人間の言語ではそれを完全に表現することはできない。だけど、その一部を取り上げて論理的整合性とヒューマニスティックな要素を加えた「手法」として体系化(理論化)することはできる。但し、それをそのまま杓子定規に人間の生の現場に当てはめようとすると、何かが過剰または足りない場合が必ず出てくる。そんな中で、もがきながらも色々と工夫していると言葉にはできないレベルである種の“気づき”が起こり、その場面ではうまくいく方法が見つかる。でもそれを形式化して他の場面にもあてはめようとすると、また過不足が出てきて、そのままではうまくいかないので、また新たな工夫をする。そんなことを繰り返すうちに、形式化(言語化)できないレベルで、ある種の“知恵”が蓄積されていく。ただ、その“知恵”を言葉で表現して人に伝えようとする時は既存の不完全なボキャブラリーに頼るしかない。”知恵“はいつも言葉で表現されているよりずっと奥深い。ここでは言語化する前の”知恵“そのものを「ザ・知恵」と呼ぶ。

(ここまで前置きね・笑)

「ザ・知恵」に至る道は色々あるし、「ザ・知恵」を表現するための体系も色々ある。ただ、それに至った人の言うことってなんだか似たような響きを伴っていると感じることが多い。それぞれの体系には特徴があって、それに適合しやすい種類の個性の人たちを引き付けているはずだ。SFも多分ある種の個性の人たちを引き付けているのだろう。で、大事なのは、どの体系の用語や理論がより妥当性(正当性)を持っているかではなくて、それらを活用(実践)して現実のことに当たり、うまくいったりいかなかったりする経験の中で培われる言語化できない「ザ・知恵」なのだ。そして、ある体系を通してそれがかなり獲得できてくると、他の体系は参考になることは色々とあっても、ベースは自分の中に培われた「ザ・知恵」で十分と思えてくる。で、その知恵を獲得するまで試行錯誤した時に採用していた体系が“たまたま”「ソリューションフォーカス」だと、全てがSFに見えてくるのではないだろうか。その境地はSF以外の色々な体系を通しても獲得できる可能性をわきまえているのなら、「すべてがSFに見えてしまう」ことは独善ではなくて、自分の生き方のベースを獲得したことのサインであるだけだ。

「ソリューションフォーカス」はシンプルでノイズ(不必要な知識)が少ない体系なので、より多くの人がアクセスしやすいことは間違いない。ただ、それを活用(実践)して「ザ・知恵」を獲得するまでの体験がないと、単なる知識だ。で、知識にしては簡単すぎて(ユル過ぎて)特別かっこよくはないかも(笑)。逆に「ザ・知恵」が伴った場合には、そのシンプルさが超カッコイイと思う。

さて、話は「SFコミュニティ」に戻るんだけど、他所から持ってきた知識だけじゃなくて、「自分の体験」を進んで共有しようとする人、そしてそれを興味をもって聴こうとする人が集まると、知識が“知恵”に深化(進化)していくプロセスが促進されるであろうことは疑いのないところです。「認め合い、学び合い、応援し合う」コミュニケーションの場に関わり続けることで、それは必ず達成されると思うのです。

2022年は、SF実践者ブログを一つの軸として、オンラインでのコミュニケーションの機会を増やして、SFという“不完全な”体系を出発点としつつ、様々な人生体験を通じて自分の内側に確かな生き方のベースを確立していく人が集う、そんな豊かな「SFコミュニティ」が形成されていくことを目指したいと思います。

<3.SFブログ読者アンケート>

「コミュニティ」は直訳では「共同体」ですが、「SFコミュニティ」は何のための共同体かというと、「認め合い、学び合い、応援し合う」SFコミュニケーションを通じての「活かし合い」の“知恵”を各自が獲得していく場だと考えます。単純に、それによって自分も元気になるし、まわりの人たちともその元気を共鳴させていこうって思える場ですね。

つながりはあっても発信者が限られた人だけなら、それは学校に近くなりますが、より多くの人々が発信することでコミュニティらしくなっていきます。これを読んでいるということは、必ずあなたなりのSF体験があると思いますので、どうかそれをこのコミュニティのメンバーに対して発信する機会があったら、ジャンプインしてみてください。ということで、その機会として「SFブログ読者アンケート」を用意しました。

これまでのブログ記事を読んで、あるいは「SFマネジャー解体新書」に参加して、皆さんが影響を受けたことがあったら、是非教えてください。「自分の考えに確信が持てた」、「考え方が変わった」、「人の見え方が変わった」、「新しい行動を起こした」、「今までのこだわりを捨てることができた」、「何も変わっていないのに気持ちが楽になった」等々、どんなことでもかまいません。小さなこと、一回だけのこと、気のせいかもしれないこと、全部OK!

このアンケートへの回答がある程度集まったら、それについてオンラインで共有するワークショップを開催するというのが、僕たちブログ執筆陣の今年の一つの目標で、楽しみにしていることなんです。ぜひご協力ください。

アンケートの質問はたった一つ、これだけです↓

「SF実践者ブログ記事を読んだり『SFマネジャー解体新書』に参加したことで、あなたが影響を受けたり、自分から何か行動を起こした(変化させた)ことがあったら、どんなことでもいいので教えてください。」

[回答方法]
ホームページの「ご連絡フォーム」からお願いします。

★「題名」: SFブログ読者アンケート回答
★「メッセージ本文」: アンケート質問への回答

◆備考:回答の末尾に、「実名で公開可」「イニシャルで公開可」「公開不可」のいずれかをお書きください。「公開」の意味は、ホームページやブログの中で紹介する、またはオンラインワークショップで取り上げる等の意味です。

[回答の活用について]
1.いただいた回答はSFブログ執筆陣が読ませていただき、今後の励みにすると同時にそこから僕たちが何を学べるかを話し合う材料とさせていただきます。
2.ブログ記事の中あるいはZOOMオンラインワークショップにて、回答された内容をどのように活かせるかの可能性を検討します。「公開不可」以外の回答は何等かの形で皆さんと共有したいと思います。

皆様からのご回答を楽しみにお待ちしています!

<4.ゲスト執筆者募集について>

これまで塩田涼子さん、豊村博明さんがゲスト執筆者として記事を書いてくださいましたが、次回のブログ記事(今月中頃)は、ゲスト執筆者による記事を2本配信します。さて、誰が書いてくださるのかは配信当日までヒ・ミ・ツ(笑)。どうぞお楽しみに!

多様性を大事にするSFですから、その実践者ブログも色々な方に書いてもらえると、より豊かなリソースになります。そこで、ゲスト執筆者を募集したいと思います。ここまでの記事をご覧いいただいておわかりと思いますが、字数制限は特にしていないので、かなり長めのものもあれば、短いものもあります。「SF実践者」という自覚がおありになるのであれば、誰でも応募資格があります。「SF実践者」だと「いつもSFしている人」みたいでハードルが高いですか?だったら「一度でもSFを実践したことがある」という意味で受け取ってください(笑)。一回だけの体験でも大変貴重です。その一回の体験を書き表そうとするだけで、色々な気づきが生まれるはずです。

[応募方法]

ゲスト投稿をしてみたいと思った方は、「ご連絡フォーム」からご連絡ください。

★「題名」: SFブログゲスト投稿希望
★「メッセージ本文」: 書きたい内容の要約を300字程度で(多少の増減はかまいません)

[応募後のプロセス]

要約をレギュラー執筆陣で読ませていただきます。そして、詳しい内容を尋ねるメールを差し上げるか、ZOOMで詳しい内容をうかがうインタビューをさせていただきます。その後、実際に記事を書いていただき、配信日程を決めます。但し、このブログの趣旨に合わない内容だと執筆陣が判断した場合には、配信まで至らない可能性があることもご承知おきください。その場合には、その理由は必ずご本人にお伝えいたします。

より多くの方のSF実践体験が共有されることで、このブログ読者の間でSFの知識を知恵に昇華させるきっかけを掴む方が増えていくと期待しています。どうぞ奮ってご応募ください。

最後までお読みくださって、ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
2022年もどうぞSF実践者仲間としてよろしくお願いいたします!

SF伝道者の四方山話 No.7 青木安輝” に対して3件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

     青木先生、執筆者の皆様、読者の皆様、明けましておめでとうございます。

     ①まず、個人的なことですが、やはりこのブログの存在はとてもありがたいものでした。大袈裟ですが「生きている証を考える場」でもあったのかもしれません。
     というのも、永く勤めたSFモード漂う会社を退職して周りにSFを語り合える友がいなくなってしまったことや、様々な出来事を思考し感じ、文字に掘り起こす機会が極めて少なくなっていることに気づきました。小さな世界に住んでるんだなあ」とつくづく思い知らされます。
     ちょうどそんな折にこのブログのご案内が届き、コメントを書くことが自分の使命のようにも思え、毎回のコラムを心待ちにするようになりました。時を同じくしてFacebookへの投稿も開始しました。
     今、この9カ月を振り返って自分がどう変わったのか、変わってないのか。他者にどんな影響を与えたのかは全くわかりません。ただ、単に日々を数えるのではなく、身近な人びとたちと意味のある毎日であったようにも思えます。
     また、とても心強い仲間を得たと同時にこのブログを通して皆さんのような高みのステージに立つことが出来ているのであれば、少しづつでもまともな人間になっていけるような気がします。本当にありがたいことだと思っています。私にとってまさしくの「SFコミュニティ」の意義なのかもしれません。

     ②次に「SFコミュニティ」については、青木先生の仰られることがよーくわかるようにも思います。このような語り合う場が出来たことは誠に喜ばしいことです。光の色が集まっても黒にならないようにいろんな知恵が集まってこさ真理が導かれるのだと思っています。
     そしてそのコミュニティはまだまだ始まったばかりであるとするならば、この小さなブログの輪を通して広がるSFの価値や多様性に全人類的な計り知れない可能性を感じております。
     ひょっとしたら後世の人類のために偉大な遺産を遺すのは青木先生たち研究者だけでなく、ソリューショニスト一人ひとりも間接的に関わることができるのではと密かな期待を膨らませてしまいますね。(また大きなことを言ってしまいました、でも、「日本SF物語」なんて映画ができた時に終わりのテロップに谷奥勝美って出てるかも、ハハハッ!)

    今年も楽しみにしております。
             コメントニストより

    1. 青木安輝 より:

      コメントニストおっくん、あけましておめでとうございます。今年も第一号コメントをありがとうございます♪

      おっくんがこのSFブログコミュニティの存在を認知してくれたこと、そしてそれをありがたいと思ってくれてることがとても嬉しいです。ありがとうございます。このブログが、人生のちょうど節目のところで新しいことに挑戦しているおっくんにとって心の友のような存在であり続けたらいいなって思います。

      ネットで公開されるところに何か言葉をつらねるって、相手が仲間だと思っていても結構勇気や思い切りが必要になることってありますよね(僕はそうです)。いつも色々と思ったことをコメントしてくれるおっくんの存在はありがたいです。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

      1. おっくん より:

        結局、誰かに見ていてほしいという本能のような願望の顕われなんでしょうか。見守ってくださる方々がSF仲間ならどれだけ心強いか❣️

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA