快く生きる日々 No.9 渡辺照子

「他には?」

 たまたまご縁のあったお二人の方に対し、この2月から3月にかけて土曜日に6回、オンラインでコーチングの基礎を学ぶ勉強会を行った。私もほかのお二人も、ほぼ初対面の関係。最初はぎくしゃく感を否めなかったが、回を追うごとに、お互いの間に、親密感みたいなものが生まれていった。ソリューションフォーカスには、「OSKARモデル」という相手のスキルアップやモチベーションアップを目的とした対話のモデルがある。ソリューションフォーカスのコーチングの型ともいえるものだ。第3回目の時、「OSKARモデル」での対話を相互にやってみた。感想として異口同音にお二人がおっしゃったことは、「安心できる相手に、『他には?』『他には?』ってきかれると、意外と自分の中から、選択肢が出てくるもんだねえ。びっくりした。」と。とても嬉しそうに語ってくれた。

 ここからは、最近あった私の心の中の、「他には?」のやり取り。4月も半ばが過ぎ、花々が咲き誇り、気候も良く、散歩をするのが楽しい。最近はワイヤレスイヤホンで、お気に入りの曲を小音で聴きながら歩くことを、こよなく気に入っている私だが、問題が生じた。というのは、私はと~っても蛇が苦手だ。子どもの頃から、気配を感じると、物体は確認せずに、ひたすら脱兎のように駆け、その場を去るようにしてきた。気配は何から感じるかというと、藪の中のカサコソという植物の葉の摩擦音によってだ。それで問題というのは、イヤホンで音楽を聴いていると、「カサコソ音」をキャッチしにくくなることだ。❝ああ、音楽を聴きながらの散歩は快適だけれど、あきらめなければいけないのか。❞と心の声。

 ❝でもな、この問題に方をつける手立ては何かあるんじゃないの?❞と、私の心の中で、「他には?会議」が始まった。

 なんとしても蛇と対面するのは嫌だから、イヤホンで音楽を聴きながら散歩をするのはやめる。 

 「他には?」・・・片耳だけイヤホンをつけて、もう一方の耳を空ける。 「他には?」・・・「カサコソ音」のキャッチが可能な範囲のかすかな音量で音楽を聴きながら歩く。 「他には?」・・・イヤホンではなく、スマートフォン本体から音を出すようにして、イヤホンは使わない。 「他には?」・・・ワイヤレスイヤホンの活用は、蛇の活動が低下する冬場だけにする。 「他には?」・・・自然の音をきくのを楽しみながら歩く。(楽しむ音源を変える) 「他には?」・・・コースを変える。カサコソ音が気にならないような道を歩くようにする。

 さて、今の私はコーチングをすることが生業だが、学び始めた20年前、とても新鮮だったのは、「する」「しない」、「続ける」「やめる」、「正しい」「間違っている」という二極的な考え方ではなく、第3の答えを見つけようとして、「どうすればよいと思いますか・他には何がありますか」と相手に問うところが、とても新鮮に感じられた。SFで、「違うことで、ほかにできることはないか?」「さらにもっとできることは何か?」と考えるところとも共通している。

 「他には?」「他には?」と選択肢を生み出すことで、答えは一つじゃないと安心が生まれるし、何より、私は、好きなことをあきらめなくて済んだ。「他には?」は、自問自答にも活用できるし、安心できる間柄であれば、相手の応援のために、「他には?」「他には?」と問いかけることで、相手が選択肢を生み出すサポートをすることもできる。とても使い勝手の良いツールだ。一歩間違えると、❝あらかじめ答えた答えが不満だから、「他には?」ときいてくるのか?❞と相手の誤解に繋がらないとも限らないので、既に出ている答えを尊重しつつ、「他にある?」「もっとある?」と問うていくことは、肯定的未来を探索するプロセスとなり得る。

 先述の私の「他には?会議」の結末はというと、コースを変えることにした。上武国道という新しい国道の側道に沿って、幅2メートルほどの歩道が設けられている。そこであれば、広々と視界が開けている。もし、蛇に遭遇すれば、遠巻きに発見できるので、早めの対処が可能だ。この側道沿いの歩道を、お気に入りの音楽と共に歩くと、広々とした畑の風景、目に飛び込んでくる緑色や鮮やかな色の花々の様子で、呼吸が深くなり、気持ちが清々してくる。

 今回は、「他には?」に助けられたな。ああよかった。これで、私の快く生きる日々はさらに維持される。

快く生きる日々 No.9 渡辺照子” に対して5件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    渡辺さんへ

     そうなんですか。蛇が嫌いなんですね。田舎育ちの渡辺さんが「ぎゃー!」と駆け出すところは想像するだけで微笑ましいですね。
     いっそのこと究極の選択「蛇と友達になる」っていう「他には?」はいかがでしょう。ちょっとだけいつもの想像の世界にお付き合いしてくださいね😁

    ①では、まず寝ている蛇に「さん」づけして起こしてみましょうか。「蛇さん」と5回優しく呼んでみてください。

    ②では次に蛇さんと睨めっこしてみますか?結構可愛らしい顔してますよ。笑った方が負けですからね。はい、スタート。

    ③最後に蛇さんもOKメッセージもらうと嬉しいはずですよね。頑張って出してみますか? ウインクでも構いませんよ😁

    ④さあ、明日から「♪僕らはみんな生きている〜♫」って歌いながら散歩してるかなあ😉

     さて、本題の「他には?」ですが、小林さんの最新コラムにあったSFスケッチに刺激を受けて、新しい仕事についてのスケッチを描いてみようかと思っています。その時に自問自答ですが「他には?」と問いかけてみますね。心の中にクスぼってるものが出てくるのではと楽しみです。そして未知の世界の夢を大きく膨らませてみますね。
     グッドタイミングなコラムをありがとうございました。

    1. おっくん より:

      SFスケッチはFBに投稿しまーす!
      またご指導くださいね。

      1. 渡辺照子 より:

        おっ君、コメントをどうもありがとうございます。

        驚きました。
        「友達になる」は私の脳裏には全く存在しない選択肢であります。
        友達になれたら、もはや、問題が問題ではなくなります。

        無意識に、「友達になる」という選択肢をブロックしている自分がいます。

        自分に対して「他には?会議」を行う時、
        「絶対選択しないかも知れないけれどあえてあげてみる」
        誰かに対して「他には?会議」を行う時、
        「自分では選ばないけれど、無責任にあげてみる」

        ということが大事になってくると、
        おっ君のコメントを拝読して感じました。

        気づかせていただきました。
        どうもありがとうございます。

        SFスケッチで、「他には?」を活かそうとしてくださる、
        「タイムリー」と言っていただけて嬉しいです。
        FBも楽しみにしています。

        1. おっくん より:

           そんなふうに肯定的に捉えていただいて少し驚いてます😊

           確かに無意識か意識してか、避けてることってあるかもですね。自分には出来ないって言い聞かせてしまって、せっかくのご馳走を味わう機会を無くしていたりして。この人輝いてるなあって思うけど、自分には無理ってなってしまう。いつの日かそんな自分を超えてみたいです。
           でも、やっぱりコブラはイヤだなあ😂

  2. 青木安輝 より:

    僕の学生時代の体験です。アルバイトでスリランカに行き、コブラ研究者の研究室兼自宅に2週間ほど泊まりました。家じゅうコブラだらけ(もちろん閉じ込められていますが)。最初は恐ろしくてビクビクしていましたが、滞在が終わる頃には、可愛いと思えてきました(ほんと!)。あえて、不可能に挑戦というのも悪くないですね(笑)。

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