諏訪太郎の日々の気づきシェアリング No.40
~評価が「B」でも部下が納得してくれた理由~
解決志向のマネージャーが面談で伝えた「たった一つ」のこと
今年の初め、私は転職先の店舗で人事総務マネージャーになりました。
右も左もわからない私を支えてくれたのが、No.2の田中さんでした。
前任者が急遽休職する混乱の中、田中さんは労務管理や退職面談、
勤怠トラブルといった難しい実務を一手に引き受けてくれました。
会社のルールや人を知らない私にとって、
田中さんの存在は本当にありがたいものでした。
だからこそ、私の一次評価では
最大限の感謝を込めて「A評価」をつけたいと願っていました。
しかし、二次上長によって最終確定した田中さんの評価は「B」。
その瞬間、「なぜBなんだ?」という言葉が頭の中を駆け巡りました。
田中さんの貢献は、売上達成率のような「定量的な数字」では測れない、
会社や現場の信用を守る「定性的な貢献」がほとんどでした。
評価制度の構造上、現場の細部を知らない二次上長には
「やって当たり前」に見えてしまったのかもしれません。
私は、この評価では田中さんの努力が報われないと感じ、
重い気持ちで面談に臨みました。
田中さんは終始冷静でしたが、沈黙の中に「納得できない」という悔しさが
漂っているのが痛いほどわかりました。
評価が「B」だからこそ、光を当てるべき「良い点」を探した
一次面談後、彼女は評価の「確定ボタン」を押しませんでした。
田中さんの沈黙が、私に「これで本当に終わりでいいのか?」と
問いかけているようでした。
私は、もう一度田中さんと話すことを決めました。
二度目の面談で、私は評価の点数や制度について語るのをやめ、
「解決志向」の視点に切り替えました。
評価が「B」である現実は変えられません。
だからこそ、その評価レポートの記述の中に、
未来につながる「希望の兆し」を探すことに集中しました。
私はまず、田中さんが「半年前、混乱している中でよくやった」という言葉で
田中さんの努力を承認しました。
評価が「B」でも、その行動のプロセスには
必ず「強み」や「ポジティブな側面」が存在します。
私はそれを探し出し、田中さんの顔を見て、心を込めて伝え続けました。
点数ではなく、田中さん自身の「人としての価値」に光を当て続けたのです。
「諏訪さんがわかってくれているから」と未来を語り始めた部下
田中さんの不満や悔しさがすべて言葉になったあと、
私は静かに問いかけました。
「あなたの強みを最大限に活かすとしたら、
来期はどのような目標を設定したいですか?
そして、来期末に『A評価を勝ち取った』と
あなたが納得できる目標達成の姿は、どんな状態ですか?」
評価の点数を気にさせるのではなく、
田中さん自身の言葉で、
田中さんの強みを土台にした「未来」を語ってもらったのです。
田中さんはしばらく考えた後、
落ち着いた声で、
「私が出来るだけでなく、パートさんにも知識を伝えていきたい」
と話してくれました。
それは、「B評価」という過去から、
「A評価を目指す未来」へと、田中さん自身が視点を切り替えた瞬間でした。
そして、面談の終わりに、田中さんは小さな声でこう言ってくれました。
「諏訪さんが、私の仕事をきちんと見て、
分かってくれているから大丈夫です。次の評価は頑張ります。」
解決志向は、「ラポール」という見えない財産を作る
この時、私は気づきました。
田中さんが求めていたのは
「マネージャーからの信頼と理解」だったのだと。
今回の評価は制度の壁で「B」のまま確定しました。
しかし、田中さんが納得してくれた最大の理由は、
この二度の面談の場だけで生まれたものではありません。
それは、日頃から私が心がけてきた
「解決志向の姿勢」そのものです。
部下が問題を持ち込んでも、
すぐに解決策を与えず、
まず「うまくいっていること」や「小さな成功」に光を当ててきたこと。
日々の会話の中で、田中さんの強みやポジティブな意図を承認し、
一貫した信頼関係(ラポール)を築いてきたこと。
「評価が悪い」という危機的な状況で、
部下が最終的にマネージャーを信頼してくれたのは、
点数ではなく、私が日頃から田中さんの「人としての価値」と「未来」を見て接し、
ラポールを築けていたという、目には見えない財産があったからに他なりません。
マネージャーの役割とは、評価という過去を裁くことではなく、
部下の強みに光を当て、未来への希望を本人の言葉で語ってもらうこと。
この経験から、私はその本質を深く学びました。


諏訪さん
久しぶりの投稿です。ご無沙汰していて申し訳ありません。
諏訪さんのブログを拝読し、現役時代の過去の自分と思わず重ねてしまいました。
一次評価者って自分はA評価なのに二次評価者がB評価をつけたために、会社として面談時にはB評価を本人に伝えなければならない。自分は直属上司として部下の日頃の貢献ぶりを傍で良く見ていて、自信をもってつけた評価を二次評価者に覆された挙句、しかもその自分が納得していない評価を何らかの理由をこじつけて部下に伝えなければならない程辛い時はないと私は思います。「俺はあなたの事をA評価で付けたんだけれど、二次評価者がBと付けたんだよ。ホント、分かってくれていないよね~。」って言葉が喉元まで出てきているところをぐっと飲み込み、部下への想いを馳せながら、会社としての評価を伝えなければならない。私はそんな時、もう一人の自分がこう囁きました。「じゃあ、もう一回良く解っていない二次評価者に掛け合ってみるか。そんなこと本当に出来るの?そんな度胸が君にはあるの?」でも諏訪さんは二次評価者のせいには一切されず、出来なかった点を列挙してB評価の正当性を部下にもっともらしく伝えたのでもなく、田中さんの「人としての価値」に焦点を当てながら、未来の可能性を信じて一緒に歩んでいこうとされた姿勢が何よりも素晴らしいと思いました。だからこそ、「諏訪さんが、私の仕事をきちんと見て、分かってくれているから大丈夫です。次の評価は頑張ります。」と言う言葉が自然と出てきたのであろうし、この言葉は田中さんから諏訪さんに対する最高のOKメッセージだったのではないでしょうか。
「人は肯定された時に変化の余裕を持つ。」おそらく田中さんは今回の諏訪さんの表情や言葉遣い、接し方から「諏訪さんは自分の事を認めてくれていて、これからも自分の事を成長させてくれる人なんだ。」ってことを肌身で感じ取ったからこそ、素直に心の内側からそんな言葉が出て来たのではないかと思いました。
今、中間管理職は疲弊しています。下からもつっつかれ、お偉いさんの顔色を伺いながらそのまま上からの指示を下におろす上級管理職との調整もこなし、部下の育成と自身の仕事も併せてこなしていかなければならない特にプレーイングマネジャーは本当に大変な毎日を送っておられると思います。
諏訪さんのブログを拝読していて、将来諏訪さんが二次評価者になられた時は、たとえ一次評価者との考え方が違ったとしても自分の評価を単に押し付けるのではなく、今回の田中さんに接せられたように一次評価者の「人としての価値」を大切にしながら、マネージャーとしての要件をしっかりと備えた管理職をきっと育てていかれるのだろうなあって感じました。
諏訪さんのこれからのご活躍を応援しています。
豊村
豊村さんのコメントを読んでいたら、もう一つ「SF実践者の”ザ・リアル”」を読んでいるような気持ちになりました!豊村さんにもエールを送りたいです。
豊村さん、コメントありがとうございます。
同じく、評価をしていた豊村さんだからのコメント、勇気をいただくことが出来ました。
人の評価を付ける、伝えることは、本当に難しいなといつも思います。
豊村さんも感じていただいたように、評価を伝えるのも大切ですが、「人として価値」を
伝えることに、力を注いでいます。
そうすることで、部下と一緒に未来を描ける瞬間が、とても大好きだからです。
本当に、今の中中間管理職は大変だと実感しています。
若い人が、やりたくないと思うのも、一理あるなと感じることは多いです。
でも、今回のように、部下に寄り添いながら面談をすることで、マネージャーも楽しそうかもと、思ってくれる人が1人でも出てくれば、それも、私にとっても幸せなことかもしれませんね。
そんな気付きをありがとうございます!
諏訪先生へ
諏訪さんが新しい職場に来られてからもう10カ月になるんですね。
今回のコラムでは、諏訪さんの職場での存在意義がはっきりと描かれているようで、
諏訪さん自身が感じてらっしゃるであろうワクワクがよく伝わってきます。
きっと諏訪さんにとってもステップアップの良い一年になりそうですね。
人を評価するとかされるとかとても繊細なシーンの心の機微を鋭く感じ取って、
相手の方の不安を希望に変えてく様子は、諏訪さんのこれまでの努力と経験の賜物
であると思っています。「幸福製造マン」とは語弊がありますが、職場の皆さんも
諏訪さんに来ていただいたことに感謝されているんじゃないでしょうか!
今年もご活躍の様子を伺い、たくさんの勇気と知恵をいただきました。
来年も今年以上に「良きマネージャー」として読者の皆さんを導いてくださるよう
お願いいたします。ではご家族でよいお年をお迎えください。
おっくん
おっくん、いつも、コメントをありがとうございます!
私も、あっという間の10か月だったので、驚いております。
「幸福製造マン」って、素敵な言葉ですね!
研修で入っていた職場の何人かのスタッフには、「ここに残って欲しいです!」と言ってもらえたので、みなさんに少なからず幸福を与えられたのかなと思っています。
今回の店舗は、新店で、1からスタッフを採用し、教育していきますので、来年は、そんな話題をお届けできるかと思います。
来年も、よきマネージャーとして、職場のみんなと、楽しみながら仕事をしていきたいと思います!!