「明日から使えるSF仕事術」No.15 諏訪太郎
娘が自転車練習でやる気を出せた理由
クリスマスプレゼントに、6歳の娘に初めての自転車を買ってあげました。
3歳ぐらいからストライダーに乗っていたのですが、自転車に買い替えるタイミングを逃してしまい、少し遅い自転車デビューとなりました。
お店の人と話す中で、娘の身長だと20インチの自転車になるとのこと。
20インチというと補助輪がついていない、ちょっとお姉ちゃんの自転車です。
補助輪なしで大丈夫かという不安もありましたが、娘が気に入った自転車が20インチで見つかったので、その自転車を購入することにしました。
その帰り道、娘は新しく買った自転車を自分で押して帰っていました。
初めは嬉しそうに自転車を押していたのですが、すぐに「重い」、「持てない」と文句を言い始めました。
それまで娘が乗っていたストライダーは、私が片手で公園まで持っていける重量です。
20インチの自転車は、小さな娘には相当の重さになります。
しかも、ペダルが邪魔をして、上手く自転車を押すことが出来ないのです。
きっと、自分がイメージしていたのと大きく違ったんでしょうね。
自転車が重いこともありますが、上手に押すことが出来ないことが嫌だったんだと思います。
最終的には、「もう持てない、お父さん持っていって」と、自転車を押すことを諦めてしまいました。
「自転車を押すこともできないのか」と心の中で思いましたが、このまま自転車を嫌いになってしまってはいけないので、その日は私が押して帰ることにしました。
その夜、私は、子供が自転車に乗れるようになるための動画を探して、どうやったら娘が早く自転車に乗れるようになるか調べました。その中で、娘に合いそうな方法をいくつか頭の中に入れて、次の自転車の練習のプランを練りました。
次の練習の日、娘と練習をしに公園に出かけました。
ご機嫌に自転車の練習にいく娘の姿を見て、まずは、自転車を嫌いになっていなくてよかったと思いました。
また、驚いたことがありました。
それは、練習をしていないのに、娘が自転車を上手に押せるようになっていたのです。
「わ~、ゆずちゃん。自転車上手に押せるようになったね!」というと、嬉しそうな顔をして、そして、自慢げに自転車を押してきます。
公園に着くと、本格的な練習を始める前に、自転車に乗った時のイメージを持ってもらいたいなと思いました。
そこで、娘にはペダルをしっかりと漕いでもらい、私がサドルをしっかりともって、自転車を押していくことをしました。
初めは、「怖いよ~」、「お父さん、絶対手を放しちゃ駄目だよ」と言っていた娘ですが、何周かしているうちにコツをつかんできたようです。
「楽しい」と言いながら、キャッキャ言いながら自転車のペダルを漕いでいました。
自転車に乗る楽しさを知ってもらったようです。
そこで、「すぐに1人で乗れるようになるからね。一緒に練習しようね」と伝えて練習に入りました。
まずは、足漕ぎの練習。
緩やかな坂道を使って、自転車のバランスを取りながら、足漕ぎをしていきます。
初めは補助をしながら足漕ぎをしてもらいます。
補助がある状態でしたら、すぐに出来るようになりました。
「ゆずちゃん、すぐに出来るようになったね。じゃあ、1人でやってみようか。」
どんな小さなことでも、出来たことがあれば、きちんと言葉で伝えていきます。
補助なしでの坂道での足漕ぎも、ストライダーに乗っていたので、すぐに出来るようになりました。
ここまでくれば、もうすぐにでも自転車に乗れるのですが、本人が今日はもう練習しないというので、今日はここまでにしました。
でも、1日で、ここまで乗れるようになったのです。
「ゆずちゃん、1日でここまで乗れるようになったよ。偉かったね」と伝えると、すごくうれしそうにしていました。
そして、家に帰ると、お母さんに、自分が自電車に途中まで乗れるようになったことを自慢していました。
娘との経験を通じて感じたのは、人は初めてチャレンジすることに何かしら恐怖を感じるということです。
なぜ、恐怖を感じるかというと、「どうしたらいいか」、「どのぐらいの時間がかかるのか」など、チャレンジを達成するまでの全体感が見えないからです。
「分からない」ことに、ある種の恐怖を感じるわけです。
だから、こういう時に大切なことは、達成した時のイメージをきちんと持ってもらうことになります。
達成した状態をイメージできるようになることで、そこに至るまでの作業工程、作業量が見えてきます。
この作業工程、作業量は、初めてのことなので、実際のものとは大きな差異が発生します。
それでも、全く見えていないより時よりは、少しでも見えているほうがいいわけです。
そして、達成までの道筋が出来たら、すぐに出来る小さなことから進めていきます。
この時点で大きく考えると、最終的に大きな差異が発生する確率が高くなります。
だから、なるべく小さく、小さく、スモールステップを刻んでいくことが大切になります。
小さく実施し、それに対して、検証をしていく。
実は、これを繰り返していくことが、達成するための一番の近道になります。
何事も、「どうなるんだろう」、「どうしよう」と不安や恐怖の状態で取り組んでも、能力が発揮できないですよね。
それだったら、「楽しい」、「出来るんだ」と思って取り組んだ方が、能力が発揮できるわけです。
そして、仕事でもプライベートでも、「楽しい」、「出来るんだ」と思って取り組んでもらう環境を作ることが大切なんだなと、娘の自転車練習に付き合っていて、改めて感じました。
諏訪さんへ
大寒を過ぎましたが、愛情いっぱいのコラムに心があったまるようです。娘さんにちゃんと寄り添って、スモールステップしながらきちんとできたことを伝えてあげる姿勢に親や先生としての在り方を教えられます。
ひとつだけ教えてください。クリスマスプレゼントの自転車は娘さんのリクエストですか。もしそうだとしたら「自転車に乗ってみたい」という願望がゆずちゃんの中にあったのだと思いますが、何かきっかけがあったのでしょうか。
何故こんな質問をするのかというと、子供たちの施設で算数検定というものがあります。通常の検定のような合否を求めるものではなく、合格(証書)ということを通して更にやる気を起こすことを目的としているようで、すでに10数名が予定されています。ただ親や先生の指示ではなく子供たち自身がきちんとプラットホームに立てるようにしてあげたいと思っています。
今はまだ私が担当になるかはわからないですが、目の前の挑戦すべきことかなと勝手に思っています。どうかアドバイスをお願いします。
おっくんさん、こんばんは。
いつも、コメントありがとうございます。
ご質問の件ですが、自転車は娘のリクエストになります。
今年から小学生になるので、小学生になる前に自転車に乗れるようになりたかったようです。
自分で欲しいと思っていたので、一生懸命練習しています。
算数検定の開催するんですね。
すでに10名もの方が集まっているのは、凄いことだと思います。
また、自分の意志で参加して欲しいというおっくんさんの気持ちも、お子様のことを考えているのが伝わってきて、とても素敵です。
私でしたら、まずは、参加してくれた10名程度の子供たちが、本当に算数検定が好きになってくれるように頑張るかなと思いました。
参加してくれた子たちが「算数検定楽しい♪」と本気で思ってくれるようになれば、口コミで広がっていきます。
そして、口コミを聞いてきて子は、自らプラットフォームに立っている人が増えるんじゃないかなと思いました。
私の考えになりますが、参考になりましたら幸いです。