「あるもの」をつなぐ No.39 シンイチロウ

10月に入り、朝晩涼しい日もあってだいぶ過ごしやすくなりました♪

ぼくは休日に旧江戸川沿いの河川敷を走っているのですが、川からの風がとても心地よくて、それだけで幸せな気分になります。

今回は家族の話です。妻はアルバイト、娘は学校、ぼくは会社と、それぞれが異なるコミュニティで様々な経験をし、いろんな気持ちを家に持ち帰ってきます。

そして、毎夜、家族といろんな話をするのですが、今回のブログは妻のアルバイト先での出来事がテーマです。

妻の涙のワケ

妻は販売のアルバイトをしています。とある金曜日、仕事から帰ってきた妻の様子が、いつもと違って元気がありません。「おかえり」と声をかけても、返事が沈んでいる。体調が悪いのか、それとも心に何か引っかかっているのか…。その夜は家族でしんみりと食事をとり、早めに休みました。

翌朝は少し明るい表情に戻っていたものの、胸にひっかかる感じが残っていました。すると昼になって、妻がぽつりと話し始めたのです。

「昨日、店長のKさんが異動のあいさつをしてくれて。アルバイトの私が一番ベテランで、とても助けられたって言ってくれたの。ありがたい言葉だったけど、“システムが変わっても困ったらいつでも連絡してくださいね”って優しく言われて…なのに、なぜか涙がでてきたんだよね。」

キャリアの誇りと変化への葛藤

その話を聞きながら、ぼくは思いました。妻はかつて有名ブランドで販売職を経験し、店長まで務めた人です。そのキャリアは彼女の誇りであり、大切なものです。

50代で再びアルバイトで働き始めて6年。最初は、周囲の人たちも際立った妻の豊富な販売経験、接客の上手さに一目置いていた様子でした。しかし、システムのIT化が進み、若い人に操作を聞くことも増え、悔しさを感じる場面が増えていたのです。

年齢や仕事環境の変化の中で、きっと妻は、「情けなさ」「腹立たしさ」「悲しさ」…いろんな感情を抱えながらも、言葉にできずにいたんじゃないかと思います。

気持ちを言葉にできる瞬間

だからぼくは感じたことを素直に伝えました。

「きっと、悔しかったんだよね。」

その瞬間、妻の涙があふれました。せき止めていたものが流れ出し、ようやく気持ちを言葉にできたようでした。

「うん…言葉は優しいんだけど、なんかバカにされているみたいでさ…ついていけない自分が悪いのかもしれないけど、やっぱり悔しかったんだよね。」

気持ちを言葉にできた妻は、その後、どれだけ悔しい思いをしてきたかを話してくれました。だんだんと、表情や声に少しづつ力強さを取り戻していくのを見ていて、なんだかホッとしました。

弱さも含めて“自分らしさ”

妻には、販売の現場で長年育んできた経験と自信という、大切な支えであり誇りがありました。だからこそ、悔しさが湧いてきたんだと思います。

年齢や環境の変化によって弱気になってしまうことは、誰にでもある。その気持ちは、その時の自分だから感じることができる唯一無二の大切な気持ち。気持ちにウソもホントも理屈もない。誰にも譲れないリアルだ。

「気持ち」に耳を澄ませる

一人でもいいし、誰かの助けを借りてもいい。気持ちを素直に丁寧に感じてみてみよう。その気持ちを言葉にしてみて、自分自身を味わってみるのも大事だと思います。

苦くて飲み込めないこともあるかもしれない。その時は、一回吐き出せばいい。やがて味わうことができるタイミングがきっとやってくる。

自然に湧き上がる気持ちに耳を澄まし、自分の中で響いている「あるもの」に目を向けよう。大切にしているものに気づくかもしれない。

感じた気持ちは唯一無二。大切に味わおう!

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