「あるもの」をつなぐ No.17 小林シンイチロウ

「感じていること」へ目をむけ、解決へつなぐ

ブログの登場人物です。ぼくの制作グループメンバーは、コイデさん(男性・シニア)、アリオカさん(女性)、チュウさん(女性)、ヤマシタさん(女性)、の5名です。今回はデジタルグループのホシマネージャーとコムラさん(若手女性)が登場します。

またまた危機がやってきた!

前回のブログでも触れたのですが、23年はデジタル業務を本格的に進めていく年になります。ぼくら制作グループはデジタルグループと協働することでデジタル業務を進めていきます。特にデジタルグループのホシマネージャーがキーマンになります。

そんな中で、1月のある朝、部長がマネージャー陣に緊急で招集をかけ、ためらいながらこう言うのです。

「デジタルグループのホシマネージャーが退社します。退社日は2月某日です」

「はっ?・・えっ!ウソでしょ???ちょっと待って・・・ん?どういうこと??やめてよ・・・」

驚きを飛び越えて絶望までいっきに駆け抜けました。デジタルについて知見が深く、デジタル業務を一手に担っているホシマネージャーが居なくなる。まったく予想もしてなかった事態でした。

「どうしよう・・やばい・・今度こそやばいぞ・・」

この3年間の中でマーケティン部門から営業部門へグループまるごと異動したとき、コロナ禍に突入して仕事のやり方を大きく変えなければいけなくなったときなど、苦境はたくさんありましたが、メンバーと一緒になんとか乗り越えてきました。

だけど、今度はダメだ。これまでやってこれたのは運がよかった。今度はもう無理。そもそも仕事について門外漢の部分が多すぎる。さすがに心が折れそうになりました。ぼくらのチームでリカバリーしなきゃいけないのか・・とでもじゃないけどできない。気合いだけでどうなる話でもない。業務量的にもうちのメンバーが抱えられる量じゃない。

でも、落ち込んでもいられない。ホシマネージャーの退社日は間近。今後どうやって進めていこうか。何かないか・・何かリソースがあるんじゃないか・・考える日々が続きました。

出来ることから、感じていることへ目を向ける

部長は対外的にはマネージャー兼任すると言っていましたが、

「小林さんがリーダーシップとってデジタル業務も進めてください。よろしく」

と一言。やっぱりそうなるか。覚悟はしていたので驚きはしないが、ずっしりと重いものを渡された気がしました。

ホシマネージャーにはコムラさんという若手女性の部下がいます。コムラさんはデジタルグループに異動してきて2年目です。

もちろんコムラさんにマネージャーの代わりは期待できません。しかし仕事は一回りしているし、ぼくらよりは知識や経験は持っている。外部の代理店や制作会社とも関わりがあり、外部の動かし方も慣れてきている様子です。

「コムラさんとの進め方がカギになるかなあ。でも彼女に出来ることは限られているしなあ・・」

出来ることだけでなく、彼女は何をどう感じているのだろうか、彼女が大切にしていることはどんなことかを知りたくなりました。彼女のことをもっと知った上で今後の展望を検討していくことになります。

コムラさんの悩み

コムラさんはホシマネージャーとうまくコミュニケーションがとれず悩んでいました。彼は一方的に話しをして指示するタイプだったから、コムラさんはそれをうけて作業を進めていました。ちょっと話す機会があったとき、こんなことを言っていました。

「わたしはここのグループに来る前は、自分で考えたことを実行していました。ここにきたら、それは否定されてしまい、ちゃんと言った通りやれと言われてしまいます。どうしていいかわからなくなってしまいました」

時々リモートごしに見える彼女の表情は暗く、「だいぶ落ちてるな・・大丈夫かな・・」と心配していました。

ぼくはよくホシマネージャーに誘われて飲みにいきます。落語にも誘ってくれたことがありました。けっして悪い人ではないし見方を変えると面倒見が良い人です。

だけど、コムラさんが悩んでいることはよく理解できます。確かにホシマネージャーの会話は一方的だし、人の話を聞いて共感することはほぼありません。ぼくはマネージャーという同じ立場だからまだよいですが、部下の立場だったら閉口しています。ぼくのチームメンバーもホシマネージャーとうまく関われていませんでした。

そこへきて、ホシマネージャーの退社が勃発。いくらコムラさんがホシマネージャーと相性が悪いといっても、マネージャーの退社を手放しで喜べない。代わりのマネージャーはすぐに来ないし、仕事の負荷が高まることは明らかです。下がっていたモチベーションはさらに下がっていきました。なにより「見捨てられた・・」感が大きいようでした。

すでにあるリソース

これまで、コムラさんとぼくのチームメンバーは仕事で関わることがありました。コムラさんはわりと思っていることを言葉にする人です。

「わたし、人と相談しながら仕事をするのが好きなんです。入社してすぐの営業研修は、いろんな人と交流があって楽しかったんです」

「アリオカさんって頼りになるんです。いつも助かってます」

「コイデさんっておもしろいですね!コイデさんもわたしもタイに住んでいたことがあって、タイ料理大好きなんです!」

「制作メンバーの人と話すと癒されるんですよね」

という話しをぼくにしてくれました。運よくぼくのチームメンバーと相性がいいんです。このことは実は大きなリソースなんじゃないか。コムラさんは人と相談しながら仕事をすることが好きだし、うちのメンバーもコムラさんをかわいがっている。メンバーはコムラさんからデジタル業務を気持ちよく学んでいけるんじゃないか。そうして、デジタル業務を進める新しいカタチを作っていけるんじゃないか。彼らを見ていてそんな想像ができたことで、ぼくにも力が湧いてきました。

懇親会から生まれたリソース

1月末に部内懇親会がありました。美味しい焼肉をたべながら、コムラさんと制作グループメンバーは楽しそうに話をしていました。

少し仕事の話をし始めた時に、コムラさんから「小林さんのチームってMAC講習やってるんですよね?」と興味ありげに聞かれました。

「うん、週1回ね。コイデさんが仕切ってやってるよ。参加するかい?」

「やりたいです!」

とやる気満々でした。マネージャーからの仕事引継ぎを含め、めちゃくちゃ忙しい中で、どうしてぼくらとMAC講習を受けようなんて思うのか?それはこのMAC講習に参加することは彼女にとって「大切な時間」なんだろうと想像します。彼女にしてみればぼくらと交流の場をもつことが、大切なものが満たされる時間の一コマになるんじゃないでしょうか。

ぼくのチームメンバーとコムラさんとの相性がよかったこと、コムラさんが今後MAC講習に参加してくれることになったことが、今後デジタル業務を進めるための大きなリソースになると感じたのです。

そして、ぼくのチームメンバーもコムラさんと相互交流を深めつつ、ぼくのチームに育った「支え合うチカラ」をコムラさんにも広げていって、助け合いながらデジタル業務を進める新しいカタチをつくっていきたい、そういうイメージを自然と描くことができました。このイメージは、ぼくが絶望と迷いの中にいた状態から、力強く次の一歩を踏み出す勇気を持たせてくれました。解決のはじまりです。

さあ、これからどうなるか。コムラさんの活躍と成長も楽しみです♪

「あるもの」をつなぐ No.17 小林シンイチロウ” に対して4件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    小林さんへ

     この苦境でも小林さんのニヤニヤしてるお顔が見えてるんだなあ😊

     まず最初に”不思議なこと”があります。それはコイデさん、アリオカさん、チュウさん、ヤマシタさんらメンバー皆さんの動揺の声が描かれていないことです。もちろん皆さんの内心にも小さな波紋は立っているでしょうが、もしチームの団結心がその出来事をまっすぐ受け止めているとしたら、最初に書いた不思議は”感動したこと”に置き換えなければなりません。
     その団結心(安心感)があるから小林さんもコムラさんの方に意識を注ぐことができているように思われました。

     前回の諏訪さんのコラムで、「物事に取り組む際には”たのしい”という気持ちを大切にする」ことを教わりました。
     今回の小林さんからは、「仲間になる近道は”あんしん”であること」と教えていただいたように思います。”安心という土台”があれば、個人であってもお互いを尊重しあいながら、活かしあっていけそうに思えるのです。何より安心なら自然と前を向くこともできるし、未知の世界へ飛び込む勇気も持てそうですよね。
     もしかしたら小林さんご自身が”安心感”な方なんでしょうか。元々そうだったのかもしれないし、技として手に入れられたのでしょうか。どうか教えてくださーい!

     最後に、何故このような試練が、チームに降りかかって来たかという意義について、これからの復活劇が、「小林さんチーム内には今回の出来事を受け止めるだけの機が熟してきている」という証明になることを祈っております。MAC講習が突破口となるといいですね。
     そして皆さんでどうぞ存分にお楽しみください😁

  2. 小林進一郎 より:

    おっくんへ

    コメントありがとうございました。
    お返事遅くなりました。

    メンバーの動揺…ホシマネージャーが退社することに驚きはあったようです。だけど仕事が大変になることへの動揺はあまりなかったです。なんででしょうね。

    安心感、は確かにあったと思います。今や朝会は1人のテーマの問題をみんなで寄って集って解決する場にもなっていて、問題を1人で背負わずみんなで背負う雰囲気があります。だから、デジタルの要であったホシマネージャーが居なくなっても、大きな動揺もなかったかなと思いました。なんとかやれると思えているかもです。メンバーにも聞いてみないとわかりませんね 笑

    ぼく自身が安心感、これもあるかもしれません。デジタルに行くぞー、と毎日言ってますし、デジタルに関する話を意識して取り上げるようにしてます。小林の本気度が伝わっているのかな。こいつはデジタル知らないくせに何としてもやり切ろうとしているなと。ズタボロになっても逃げないなと。

    意義のコメントを読ませていただいて、ふっと浮かんだのは、起こったことはすへて最高さ!、でした。ソリューションフォーカスを繰り返していくことで、その時その時に自然とベストを尽くせるから最高になるのかな。

    ぼくらのチームを見守っていただけてうれしいです。おっくんもチームを支えてくださる一員のように感じています。

    それでは!

    1. おっくん より:

      なんか、潔いですね。爽やかです♪

  3. 小林シンイチロウ より:

    あ、追加で。ぼくはこのチームに育てられていると感じています。メンバーに感謝です。あと、こうした振りかえる場所を作っていただけた青木さん、いろんな視点で刺激をくださる渡辺さん、諏訪さん、読んでいただいている読者のみなさまにも感謝しております!なんかあらためて感謝を伝えたくなりました😊

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