SF伝道者の四方山話 No.37 青木安輝
「SFを広めたい!」 – Y-SOLへの道 –
「SF伝道者の四方山話」No.35は「『SFを伝えたい』って人を応援したい!」というテーマでした。この「したい」が「している」と現在進行形になってきた報告ということで、上野和禎さんのケースを紹介させていただきます。
コーチ・オンリーワンという屋号でプロ・コーチのお仕事をされている上野さんは、現在「SFプログレス」(*)に参加中で、「山口県SF未来プロジェクト」という壮大なテーマに取り組んでいます。
(*)SFプログレスは個人セッションとグループセッションを組み合わせて6か月間続くオンラインコースで、SFを活用して自分が取り組んでいることを前進(プログレス)させることを目指します。
上野さんは、自分が生まれ育った地域でソリューションフォーカスを活かした研修や様々なコミュニケーションプログラムを展開していき、人や組織が活性化する事例を沢山創っていくことで山口県の未来を明るくしたいという願いをこのプロジェクト名に込められたそうです。そして将来は、山口県でJ-SOLや”SF inside” DayのようなSF活用事例共有イベント開催も目指しているそうです。
ことの始まり(僕の側から見た)は昨年秋のことでした。前年に「SF基本セミナー」を受講済みの上野さんから連絡があり、僕に会って話しがしたいとわざわざ八王子まで来てくれました。その時は、ご自身の前職であった対人援助職の事例検討会にSFを応用して、ソリューションフォーカスなコミュニケーションによって短時間で参加した人が次に向けてやる気や希望を増すようなやり方を広めたいというアイデアについてうかがいました。そして上野さん自身の意欲とやろうとしていることがうまくいきそうな可能性を強く感じたので、「頑張ってね!」とお伝えして別れました。しかし、単に心情的な「応援してますよ」に留めずに、プログラム化したサポートを提供したいと思うようになりました。
現在進行中の「ソリューションフォーカス基本セミナー」も、一人のSFファンの方から強いご要望をいただいたことをきっかけとしてオンラインで始めましたが、上野さんのような熱い想いを持っている人がいるのなら、ぜひその志の実現をサポートしたいと「SFプログレス」を企画して、今年の1月から6月までという期間で開催しているわけです。
「SFプログレス」に参加し始めたタイミングでちょうど組織内コミュニケーション研修の依頼を受けた上野さんは、これをSFの内容で実施して、その組織の活性化を図ることにしました。内容は、僕が提供してきたSFセミナーの内容を基本にして、自分なりの工夫を加えるということにしました。1回2時間の研修を3回シリーズで行い、受講者の評価が良ければさらに3回延長するということでした。結論から言うと、想定以上に高評価をいただいたそうで、見事延長が決まりました。
同時に、「これまで貯めてきた運を使う時が来たというにふさわしいレベル(ご本人の表現)」で、色々なところから研修のオファーが来たり、上野さん自身が企画したプログラムに人が集まってくれるようになりました。研修依頼のテーマはコミュニケーションの改善とかコーチングとか様々な名前で来るらしいですが、それらのほぼすべてに「内容はソリューションフォーカスでやりますけど、いいですか?」と伝えているとのこと。そして上野さんのシンプルな説明を聞くだけで、「いいですね。それでお願いします!」と返ってくるそうです。セッションの中でそれを報告してくれるときの上野さんがとても嬉しそうなのが印象的です♪
詳細はここに書けないのが残念ですが、上野さんは僕が提供している素材をさらにブラッシュアップして、受講者にとって受け取りやすいようなスライドやテキストを作ることに成功しています。そして、研修の進行方法に関しては、「SFプログレス」の中で僕や他の参加者からのフィードバックを受けて、ご自身が納得できて実施しやすいように改善していっています。また、研修実施後の振り返りも一緒にできるので、ちょっとした失敗があったとしても、次の回にはこうすれば良いという風にそれが活かされてきました。
これは僕の勝手な捉え方ですが、上野さんがもともと持っている強みが僕と交わることによって花開いてきているという感触があります。これは「僕のおかげで」というニュアンスではなく(少しはありますが・笑)、ある意味、お互いの性格の足りないところが補い合えるように、まさに「認め合い、学び合い、応援し合う」のSFラーニング・クリードに則ったコミュニケーションを僕たちが実践していることの証だと思っています。だから、僕も上野さんがブラッシュアップしてくれたスライドを提供してもらって、これから僕の研修でも使わせてもらおうと思っています。
上野さんが最初に僕のオンラインセミナーを受講された時は、よく質問をしてくれました。しかし、正直言って「結構細かいところにこだわる人だな。そこはどうでもいいところなのに・・・」と感じることが多かったのです。ところがその質問に答えることが、僕にとってはとても勉強になりました。「ここのところはどっちでもいいだろう」と曖昧な表現をしたり、明言していなかったところを上野さんは質問してくるわけですが、それに回答すると、「ああ、こういう言い方をすればより多くの人が理解しやすくなるだろうな」と思えました。だから、だんだんと上野さんが質問してくれることが楽しみになりましたし、そのやりとりを通じて僕も向上していけると感じました。
「SFプログレス」の中でも、上野さんは研修内容を企画する段階で「ここはどうしたらいいでしょうね?」とよく質問してくれるのですが、それに対して回答しようとすると、僕の過去20年間のSF伝道体験が活かせるので、とても答えがいがあります。また、その答えた内容を上野さんはしっかり自分の仕事ぶりに反映させてくれます。なんだか20周年の年にふさわしい仕事をしているように思えてきます。
「山口県でJ-SOLみたいな大会をやりたいんです」っていうのを最初に聞いた時は、とても嬉しい反面、心の中では「えっ、あんたそれ出たこともないでしょ!?できるかなぁ・・・」と懐疑的な気持ちも湧いたのですが、今は「うん、これならいける!J-SOLってか、Y-SOL(山口のSOL)だよね♪(笑)」って思っています。
こんな風にソリューションフォーカスを活かして頑張りたいとか、SFを広めたいという人を応援することが実質的・具体的に成果を生み出していくことを体験できることは、僕にとって本当にありがたいことですし、もっともっと注力していきたい気持ちが高まっています。教室に生徒を集めるようなリアルタイムで多数の人と時間と場所を合わせる調整はなかなか難しいですが、一人ひとり個別にオンラインでつながることを軸に進めていくのであれば、かなり可能性が広がります。あとは、ときどき集まって体験共有と意見交換ができれば、まさに「認め合い、学び合い、応援し合う」というSF学習クリードを具現化する場になります♪
そういうプログラムの枠組みをもうすぐ発表したいと思っています。待っててね!