快く生きる日々 No.35 渡辺照子

 私は、ソリューションフォーカスに出会ったことで、生きる上で、その時そのときの判断が、すっきり、かつ楽になったと思う。

 私がソリューションフォーカスにどう遭遇してきたかというと、青木安輝さんのセミナーに参加。さらに実践コースに参加し、ヨーロッパで行われたカンファレンス(SOL)にも数度参加。青木氏が主催する日本国内でのソリューションフォーカス活用事例共有大会に参加したり、主催側のメンバーに入れていただいたこともあった。これらの流れの中で、ソリューションフォーカスを学んできた。

 私はソリューションフォーカスを、学んで身につけたかのように思っているが、人は元々ソリューションフォーカスする生き物だと思わせることに出くわすことも度々ある。

 実家の宿を受け継いで経営している姉は、体育大学の出身である。その姉が言うには、当時一緒に運動したり、寮生活をしていた仲間との絆は、強いものがあるそうだ。なぜかというと、目の前にお題があるとき、とにかく皆で乗り切ったから。皆で乗り切らなければ乗り切れない。「乗り切れなかった」では済まされないので、とにかくできる方法をさぐったのだそうだ。なので、姉は現在の宿泊業の仕事も、体育大の時と同じのりでやっているのだという。「よーし、やったるで。」とお客様の顔や姿を浮かべ、きっと喜んでもらおうと思ってやっているのだそう。

 母の妹のせきおばは、隣村に嫁いだ。夫ののぶおじと民宿業と農業を営んでいる。先日庭先でお茶を飲んでいるとき、「日々や農業は楽しくてしかたがない。ああするか?こうするか?と考えながらやるのが、面白くって。」という。せきおばは、周りの人々にも慕われ、信頼され、地域の活動をしたり、料理の腕前が素晴らしいので、こんにゃく料理のことで、雑誌やテレビの取材に応じたこともある。実は数ヶ月前、膝の手術をして、完全には良くなっていないのだけれど、せきおばの表情は、穏やかで朗らかである。

 人は極限状態や、切迫した状態になったら、「どうしてできないか?」「なんでできないか?」とするよりも、どうしたらできるかと、ソリューションフォーカスしてしまう。

 人は、自分の毎日を生きるとき、今を進むために、どうしたら楽か?どうしたら喜んでもらえるか?どうしたらスムーズかと考えて実行することを愉しみ、自然とソリューションフォーカスしてしまう。

 一方でこんな体験もあった。8年ほど前のこと、私は大きく体調を壊してしまい、体全体が痛くなり、体を思うように動かすこともできず、メンタル的にもかなり落ち込んでしまった時期があった。そのとき、既にソリューションフォーカスの存在を知っていたので、こういうときこそ、ソリューションフォーカスしなければと思ったけれど、無理だった。人は、心身が極限状態になったら、理性でソリューションフォーカスしようとしても、制御できないのだな。ということも肌身で味わった。

 ソリューションフォーカスって何なのだろう。

 そういえば、以前SF活用事例共有大会(J-SOL2)に来日してくれたスイスのソリューショニスト、ピーター・ザーボさんのセミナーで、「クロールで、よいしょ・よいしょって、目的の処に到達するのではなく、まるでサーフィンするように波を捉えて波に乗るように進むのがソリューションフォーカスするってこと。」というような内容を伝えていただいた。

 ここまで書いてみて、1つ思うことは、頭であれこれ考えず進めばよい。その時そのときの自分の感覚を大切にし、かつそれを受けて、こうやってみよう、ああやってみようと生きることこそが、快く生きるってことなのかなとあらためて思う。

 結局、ソリューションフォーカスって何かの答えは出ていないけれど、日々を快く生きる上で、大切なモチーフであることは間違いなさそうだ。

快く生きる日々 No.35 渡辺照子” に対して3件のコメントがあります。

  1. おっくん より:

    渡辺さんへ

     益々のご活躍、そして大学院のご卒業、誠におめでとうございます。また一歩前進ですね!

     昨日(6月8日)の青木さんのカフェに参加させていただきました。「パーソナルセッション化」がテーマです。現在進行形でオンラインセッションを受けておられる方たち3名に受講の感想をお聞きしてみたのですが、3名ともその効果の素晴らしさを実感されている様子をいきいきと語られていたのがとても印象的でした。ある人は数年間躊躇していたことが、青木さんとのセッションを通じて一気に実現に向けて動き出した旨のお話しをされていました。聞いている人にもビンビン伝わってくるし、これこそソリューションフォーカスの真髄なのかなあって思います。貴重な体験でした。

     時を同じくして渡辺さんの「ソリューションフォーカスって?」の問いかけに照らし合わせたときに思いついたのは「前進するよろこび」、そしてそれが周囲に共鳴を起こしていく様ととらえました。

     ひとりの旅人の目がら見ると、武尊の山里には前進する力と響き合う力のそのどちらもがしっかりと根づいているように思います。大自然と温泉の宿が多く点在する地域ならではの「おもてなしの心」が村中に染み込んでいるのでしょうね。地域の財産であり、生まれくる人へのこれ以上ないプレゼントです。そしてそれをきちんと受け継いでおられる渡辺さんとの出会いにも感謝です。だってソリューションフォーカス関係者のみなさんとの交わりが、僕の人生をよき方向に導いてくれているのは間違いないのですから。

     せきおばさんとのぶおじさんにもよろしくお伝えください、ませ!
    おっくん

    1. 青木安輝 より:

      おっくん、昨日はおしゃべりCaféにご参加いただき、まことにありがとうございました。未発言の方に質問して促してくれたり、場に気をつかってくれる様子がいつもながら嬉しかったです。よかったらまたCaféに立ち寄ってくださいね~♪

      1. おっくん より:

         お邪魔にならなかったのね!
         ひょっとしてもっと違う発言が聞けたかもって心配してました。

         でもこんなふうに青木さんと気遣いが通じていることがうれしいなあ。
        あらかしこのおっくんより

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