SF伝道者の四方山話 No.38 青木安輝
ベーシックでシンプルなことを大切にするPS
~ SFパーソナルセッション化への道 ~
今回のブログは6月8日(日)の「SFブロガーの遊び部屋」(オンライン無料)にお誘いすることを目的として書きます。僕の遊び部屋「やっちゃんのおしゃべりCafé」は、毎回色々なトピックで気楽に皆さんと一緒におしゃべりしますが、今回のトピックは「SFパーソナルセッション化への道」。タイトルはちょっと仰々しいけど、これからソリューションフォーカスのオンラインプログラムをどういうものにしたいかについて「僕の考えを聞いてくださ~い、そして皆さんの反応やご意見を知りたいで~す」という意見交換の場になります。
コロナ禍を経て、自分が主催するSF学習プログラムおよび実践プログラムはすべてZOOMでオンライン開講してきました(自分語り系の「アプリシエート」は例外です)。その中でとても手ごたえを感じているのが1対1のパーソナルセッション(PS)です。これをSF学習&実践プログラムの中心に据えて提供していきたいと考えるようになりました。
それによってどんなことが可能になるのか、そのメリット、そして僕が思い描くフューチャーパーフェクトを言葉にしてみたいのです。このブログ記事はその出発点、そして6月の「おしゃべりCafé」での意見交換を踏まえて、さらに考察を重ねた上で具体化していきたいと思います。
【コミュニケーション密度の高さが確保される対話の場】
コミュニケーションに密度というものがあるとして、密度が高いほど実質的にお互いに与え合う影響が強いとします。対面とオンラインでは対面の方が基本的に密度は高くなります。しかし、一方で密度の高さは緊張感の高さ(ストレス)にもつながるので、単に情報を得るだけといった目的なら多人数オンラインセッションの低めの密度がちょうど良い場合もあります。
また、密度は頻度が加わると増加します。だから対面で一回会うよりも、オンラインで短期間のうちに数回会う方が密度が増す場合もあります。またその相手とコミュニケーションを交わすことへのモチベーションや期待感も密度を高めます。
ソリューションフォーカスを実践するために学ぶ、それを実践して目的を達成するためのサポートを受ける、自分自身の変容を探求するといった目的があるのなら、モチベーションは高いですし、もし青木安輝とのパーソナルセッションであることへの期待感が持てるのならさらに濃くなります。そして、そういう方と対話を重ねることに対して僕のモチベーションは非常に高いですから、オンラインであっても僕と1対1の状況は、お互いに影響を与え合うための密度を確実につくりだします。また、オンラインなら頻度もほどよく確保しやすいので、適度な密度維持につながります。
【パーソナルセッションのメリット(参加する側)】
実際にオンラインでの「パーソナルセッション」を継続している方に「何が有効であるのか」を尋ねてみました。前回のブログにも登場した上野和禎さんです。「パーソナルセッション」を始めてから、ソリューションフォーカスの研修やセミナーがうまくいくようになり、仕事が増えてきたそうです。何がどう良かったのか尋ねたところ、以下のような回答(要約)を返してくださいました:
「まず一番は安心感です。私は講師としてソリューションフォーカスのセミナーを福祉、医療、教育など色々な場で実施しています。で、自分が受講者の時にはわかったつもりになっていたのに、いざ人に伝えようとすると『この言い方で良かったかな?』と自信が持てないことが時々あります。そんな時、以前なら『多分~と思う』みたいな自信のない言い方をしていたのですが、今では青木さんご本人に質問をして、理解できるまでじっくりやり取りができるので、明快に言い切ることができます。だから、前より確実に受講者にSFが届いている気がします。セッション中に『ああ、そういうことね!』と納得できると、パズルの穴が開いていたところにうまくはまるピースが見つかった時のような気持ちの良い感覚があります。
だから、SFを説明するときの言葉に力があるのか、色々なところから『~の研修』をしてと依頼が来ると、職場のコミュニケーション関連であれば、今はほぼすべての場合にSFの説明をして、こういう内容でいいですか?と尋ねることにしています。で、ほとんどの場合、『ぜひそれでお願いします』みたいな反応が返ってきます。
問題を深堀したり、犯人捜しをせずに、望む状態とそれにつながるリソースやスモールステップを創出することで人間関係が良くなると同時に解決が導かれるという説明をすると非常にウケがいいですね。パーソナルセッションで自分がSFを深く納得できたことを確認したことは本当に大きな力になりました。」
僕(青木)はコーチやセラピストのような有資格の専門家ではないので、理論や専門用語を並べて「これが正しいやり方」と教えることはできません。その代わり、コミュニケーションを交わした結果、人の心が動き、行動変容があり、何等かの成果が生まれるようになるかどうかだけを基準に、解決志向のノウハウを活かそうとしてきました。しかも自分の感覚で。だから、SFを学びに来た人たちに対しても、その人の感覚で実際にうまくことを見つけてもらえるように対話をします。「正しいかどうか」ではなく「有効かどうか」が基準です。上野さんの場合は、SFセミナー受講後に沢山「有効なことをした」報告をしてくれるので、「それいいですね!」と返すことが多く、大いに自信を深められたようです。
【パーソナルセッションのメリット(提供側)】
今度は提供側から見たメリットです。相手がお一人なので、その人のことだけを考えれば良いからとても集中しやすいですし、僕自身がとても自由を感じます。相手が複数だと、どうしても「この人に〇〇と伝えることが他の参加者にどう映るか」ということを配慮して、最大公約数的なことを言うようになる場合がありますし、セミナーだと進行時間を気にして重要なことなのに掘り下げが十分でないと感じることも少なくありません。相手が一人なら、かなり思い切ったことも言えるし、刺激的なツッコミを入れたり、脱線したり、必要に応じて自由にトピックを変えていけます。進行のペースも、時間が足りなくなれば次回に持ち越すなど臨機応変にできます。一人の相手の反応という一点だけを基準に進行を変えられるので、大いなる自由を感じます。その分だけ、僕自身から引き出されているものも多彩になっている気がします。
時間帯や頻度もお互いの都合さえ合えば調整できるので、必要なときに望まれた内容のセッションができることも、僕にとってやりがいにつながっている大きなメリットです。
パーソナルセッションだと今まで僕が蓄積してきたモノが必要に応じて自由に提供できることも楽しく感じられます。実際に、絶版になってしまったけどたまたま僕がもっている本が参考になりそうなので貸してあげたり、海外ソリューショニストの資料を提供したり、今まで僕が関わってきた様々なプログラムからの資料を提供しています。グループだと依怙贔屓になってしまうかなって遠慮するところですが、パーソナルセッションではそんな心配は皆無で、僕が提供できるものなら何でも提供しています。そんな時は、40年間コミュニケーションの業界に居て、20年ソリューションフォーカスをやってきた蓄積はありがたいなと思います。
【ChatGPTの活用】
使っている方はご存じと思いますが、ChatGPTは益々便利で有用になってきていて、パーソナルセッションの中でも活用しています。SF的な表現やSF資料への言及が多くなるようにソリューションフォーカスの資料を読み込ませた「ソリューションフォーカスChat Room」というSF指向ChatGPTを用意しました。
これがアイデアを必要とするテーマに関して瞬時に沢山の回答を並べてくれることには本当に驚嘆します。ただ、一人で使っていると逆に行動する気が起きなくなる場合があります。あまりにも見事過ぎて何だか自分がバカにされた気になったり(ChatGPTはとてもやさしく丁寧に言葉を並べてくれるのに!?)、選択肢が多すぎて考えるのが面倒臭くなったり、結局行動を起こすまでには至らず、そのことへの罪悪感が残る場合すらあります。
便利なものをそんな風に中途半端に扱うのはもったいないですよね。アイデア出しが瞬時にできるのであれば、むしろそこから先を人間同士のコミュニケーションに引き取って、その中から実際に実行可能なものを選別し、必要に応じて修正し、アクションプランを立てる会話をすれば、本人の等身大のスピード感に合う分だけ「自分ごと」になりやすくなります。2人でAIを使いこなすチームになるので、優秀なアシスタントを伴って、課題を解決したり未来の成功の可能性を高める対話ができるわけです。
今度の「おしゃべりCafé」では参加した方にお題をいただいて、ChatGPTがどんな回答をするか面白がってみるなんてこともやってみたいです。
【SFパーソナルセッションはどんな目的に対して有効か?】
さて、ここが一番大事なところで、皆さんからのご意見をいただきたい最重要ポイントです。今僕が思いつくのは以下のようなことなんですが、皆さんのニーズに応じた具体的なご要望をぜひうかがってみたいです。
1.「ソリューションフォーカス」の基本を学ぶ(初心者向け):
動画視聴とパーソナルセッションの組み合わせで、レクチャーは自分の都合の良いときに視聴して、そこからの気づきや質問をパーソナルセッションで扱い、学びを深める形式。自分の固有の課題にSFをどうあてはめて捉えられるのかを話題にできるので、単に一般論ではない実質的な学びが可能になる。
2.「ソリューションフォーカス」を実践する:
既にSFの基本を学んだ方が、自分の仕事や生活の中で接する人に対して、効果的にSFコミュニケーションを活用して、より良い人間関係の構築やコミュニケーション環境の改善、チーム力の向上などを目指すためのサポートをパーソナルセッションで受ける。
3.「ソリューションフォーカス」を自分の仕事に効果的に組み込む:
仕事の中で前提とされていることをSF的に考え直してみたり、仕事のプロセスで人と人が接触する局面で「プロブレムトーク」よりも「ソリューショントーク」が誘発されやすくなる仕組みや仕掛を考える。これも基本を学んだ上でのパーソナルな応用。
4.「ソリューションフォーカス」を伝える(教える):
既に講師をしている方が「ソリューションフォーカス」のセミナーを企画実施する、既に自分が教えている内容や教え方にSF的要素を組み込んでより効果的にする、自分のチームの人たちにSFを教えて日常的な実践を促す、そんなプロセスをパーソナルにサポートする。上野さんのケースはこれです。SF講師は僕自身がやってきた仕事なので、ノウハウ伝授がしやすい領域です。
5.「自分と究極に仲良くする自己受容ワーク」:
これは「アプリシエート」や「タロットクエスト」などの自分語り系プログラムを通じて挑戦している領域ですが、ソリューションフォーカスを自分自身に応用することをサポートすると言い換えることもできます。
【ベーシックでシンプルなことを大切にする】
さて、なんでこのブログ記事はこんなタイトルがついているのでしょうか?
ソリューションフォーカスを表面的にとらえると、「それってポジティブ思考のことでしょ」とわかった気になりやすいのですが、ではそれで何かを変えていけるのかというと、「やっぱりポジティブ思考だけじゃダメだね」とか「自分はポジティブなんだけど相手がついてきてくれなくて」ってことになることもよくある話です。自分の中だけで完結するポジティブ思考は相手に何も影響を及ぼさないどころか、かえって相手の心の扉を閉めさせてしまうような外圧になってしまうこともあるからです。
コミュニケーションを交わした後の「結果」が「お互い」の前向きさや具体的な前進につながるようにするには、「“ポジティブ”を貫徹すれば良い」というような一方的単細胞的な発想では行き詰まるので、常に相手の反応や自分の心の中の反応をモニターして、柔軟に対応を変えていく必要があります。
そのためには複雑な理論はかえって邪魔になります。SFの「誰でも知っていそう」な当たり前のことの方が指針としては役立つことが多いです。但し、それが実際に実行されているのか、その効果がどう表れているかを繊細にモニタリングする必要があります。だから、ベーシックでシンプルなことを大切にすることが重要で、それはパーソナルセッションでじっくり対話をすることで可能になります。
僕が考えていることは、今のところこんなところなんですが、SFの「パーソナルセッション」というものに興味が湧いたり、自分が今目指したいことに役立つのかどうかが知りたいという方は、ぜひ6月8日の「やっちゃんのおしゃべりCafé」(無料)にご参加ください。お待ちしていま~す♪
GOOD SHOT !!
Really? Thanks!
青木先生へ
長〜いコラムを読ませていただいた翌朝の仕事中にふと、高村光太郎の「道程」の一節が浮かびました。
「僕の前に道はない
僕の後ろに道は出來る」の部分。
なぜ浮かんだのかわかりませんが、せっかくなので今回のコメントはここから出発しま〜す。
僕は定年を迎えてから「体験」することを大切にしてきたように思います。もちろん自分探しや完成というものは心のどこかにあるんだろうけど、それとは別に目の前に現れてくるさまざまな機会に対して割と前向きに取り組んでいるのではないかと思っております。
少し次元が違いますが、例えば名声とか富を得ることを目的に何かを始めたとして、それを手に入れたとしても、それ以外の何か(道)は必ず残るんだろうと思えてきます。
また、それが人真似から始まったとしても、また違うDNAに触れることでさらに変化や進化をもたらすかもしれないし、それもまた「道」に他ならないように感じます。
またSFのDNAは人類の普遍の法則であるので、どのように進化が進んでも「人間の尊厳」から外れないう限り形骸化することもなく、利権争いの宗教のように目的を見失うこともないでしょう。
またいつものように訳が分からなくなってきましたが、ともかくお陰様で僕は人を信じながら、少しずつですが良き方向に進んでいるように感じることが出来ております。この幸せ感そのものがSFなのかなあと思いながら。
青木先生の今回のコラムは少し吹っ切れたような、悩みの雲を突き抜けたような爽快感を感じております。今後のご活躍を楽しみにしております。
おっくん
おっくんが定年後に歩んでいる道はまさにおっくんならではの道のようですね。それをしっかり味わっているのが素晴らしいと思います。
僕の今回のブログの意図は、僕がオンラインでの個人セッションでお相手することで、その方が進みたい道を進むのに役に立てば嬉しいなと思っているのだけど、どんな道を進みたいと思っている人に役に立つのかが今いち明確にできない、だからちゃんと宣伝できていないという想いがあり、関心がある方々とお話ししたいなということでした。
それに関して、おっくんから見たら「こう見える」ってのがあったら是非教えてください。よろしくお願いいたします。
SFパーソナルセッションはどんな目的に対して有効か?
として五つのプログラムをあげられていますが、もっとシンプルにすべてのプログラムに共通するものは
「今よりよくなりたい」
「自分にできることは何か」
「悩みを力に変える」
「誰かの役に立ちたい」など
自分の可能性を見つけたい、広げたい、そして生きることを楽しみたいという願望なのかなあと思いました。
(これじや、振り出しに戻ってしまいますね。僕もカフェで他の人の意見を聞いてみたくなりました)
まあ、骨組みとしてはその通りなんだけど、肉がついたらどんなものになり得るのかの具体的な(誰かのリアルな)サンプルを集めたいって感じですかね。おしゃべりCaféには今のところ3名の方が参加予定なので、楽しみです♪
4名になるかな?(^^)
昨日は楽しかったです。12名に感謝!
おっくん、昨日は本当にありがたいと思いました。やはり人と話す場は大事だなあと身に染みて思いましたね。ぜひまた!